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東洋医学と西洋医学の違いについてご存知ですか?根本的な違いというのは…

なんとなくわかっているようで、いざ説明しようとしてもなかなか難しい東洋医学ですが、西洋医学との違い、陰陽五行説についてご紹介していきます。



1.東洋医学と西洋医学の違い

2つの医学の根本的な違いとは、「身体を診る視点の違い」にあります。


西洋医学は『病気を診る』


 

西洋医学は、解剖学や生理学などの科学的見地から、人体を機関や組織、血液やリンパ液などに細分化し、病巣を局所的に分析します。体内に侵入した細菌やウイルス、病理部位を排除することに主眼をおき、治療していきます。 検査に現れない異常は病気とはみなされず、不調を訴えても治療方法が見当たらないことも起こります。


特 徴 :科学的局所的に分析する、理論的な医学
分析方法:多種の検査を行って精度が高く、客観的なデータをもとに診断
治療方法:単一成分で生成された合成品(西洋薬)を使用。即効性があるが副作用多い



東洋医学は『人を診る』


東洋医学は、人体を全身が関連するひとつの有機体として捉えるので、不調があれば、局所的な問題なのか、全身のバランスの乱れが問題なのか、という複眼的な視点より病因を追求します。検査では異常が現れない不定愁訴(※)でも自己治癒力を高めることで改善できると考えます。


特 徴 :総合的、全人的に観察する、経験的な医学
分析方法:四診により、全体・局所的にも診察。経験を基に主観的に判断
治療方法:自然の生薬を組み合わせた漢方薬や鍼・灸で自己治癒力を引き出す


※不定愁訴…肩こり、めまいなど、漠然とした自覚症状はあるものの、検査をしてもその原因となる病気が特定できないもの。西洋医学では自律神経失調症とされ治療対象にならないことが多いが、東洋医学では治療対象となる。

2.陰陽五行説①



「陰陽五行説」は、東洋哲学の根源的世界観であり、東洋医学を学ぶ上で一番重要な原理原則です。


東洋医学的な治療法はいくつかありますが、すべてはこの陰陽五行のバランスの乱れを把握し、そのバランスの乱れを整えることが一番の目的となります。


人には本来、陰と陽のバランスを自然に回復する機能が備わっています

陰陽五行のバランスが完全に整えば、すべての病気や体調不良は必ず治ります

しかし、完全に陰陽五行のバランスが整っている人は存在しないというのも事実です。


完璧を目指して完璧に近づいていくことは出来るが、完璧になることはない・・・というのも東洋医学の特徴といえるでしょう。



「未病」とは


東洋医学には「未病」という独特の概念があります。よく「病気になる一歩手前の状態」と説明されることが多く、もちろん治療対象となります。完璧な健康状態の方がいないことを考えると、病気になっていない方はすべて「未病」の状態となり、治療対象となるといえます。


昔は「家族に病人が出ると、まずは家族の中で一番健康な人が医者にかかって、その医者の力量を測る」という方法があったそうです。より健康な人のほうが治療効果の出るのも早いからです。

このあたりは、検査をして異常が見当たらなければ明確な治療法がないという現代医学とは、まったく正反対の考え方ですね。


陰陽五行のバランスを乱さずに整えていくということは、日常生活の中でも出来ます

いわゆる「養生法」と言われるもので、基本は「食事・睡眠・運動・精神」のバランスを整えていくことです。しかしそれを具体的に考えていくと、いろんなことに気を配っていかなければならないことがわかってきます。


例えば、前回も紹介した二千年以上前に書かれた医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』によると、


「夏は少し遅く寝て少し早く起きるべきである。体内の陽気を外に向かって発散することができるように、気持を愉快にすべきで、怒ってはならない。」


「冬は少し早く眠り、少し遅く起きるべきである。心を静かに身体も安静にし、大汗を出すようなことをして、むやみに陽気を発散させてはならない。」

出典:「黄帝内経」


などと、ちょっとしたことでも陰陽五行のバランスが乱れるということが書かれています。


これらの内容を全て覚えて生活に活かしていくというのは無理がありますが、陰陽五行の原則が理解できればいろんな場面で応用して考えることができるようになります。


では、次回から陰陽五行説の原則について詳しく解説していきたいと思います。




我孫子 大輔(漢方脉診流あびこ鍼灸院長)

我孫子 大輔(漢方脉診流あびこ鍼灸院長)

臨床に携わって20年。開院後も日々『東洋医学』『脈診』『鍼』の理論と技術を探求。KACS(漢方鍼灸臨床研究会)副会長を務め、後進育成の研修講師も兼務。担当講義にシリーズ『漢方病理学講座』『病態パターンと各証の病理学』『実地臨床における脉状考察』等。

漢方脉診流鍼灸

あびこ鍼灸院

脈診』というのは、一般的な鍼治療ではなく、手首の脈を診る東洋医学独自の技術です。手足のツボを使って、身体内部からカラダ全体の氣・血・津液バランスを改善していきます。 詳しくはパンフレットをご覧ください。
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