
グルテンフリーとは?ジョコビッチ選手も悩まされたグルテンについて
プロテニス界の世界王者:ノバク・ジョコビッチ選手が実践してベストセラーになった「ジョコビッチの生まれ変わる食事」(タカ大丸訳・三五館刊)で有名になりましたが、グルテンフリーが今大変注目されています。 グルテンフリーとは?腸との関係?を詳しくご紹介します。
目次 |
1.原因不明のカラダ不調の犯人は?
まずはチェックテストをしましょう。下記の項目にいくつあてはまりますか?
チェックテスト
□疲れがとれない
□体が重い
□頻繁に下痢や腹痛をおこす
□吐き気がする
□眠れない
□集中できない
□イライラする
□脳にかすみがかかったような感じがする
□不調の理由に心当たりもなく、病院で検査をしても原因がわからない
3つ以上該当がある方は、その原因は、「小麦」にあるかもしれません。
ジョコビッチ選手は「グルテン不耐症」だった
原因不明の体調不良に襲われることが多く、大切な試合を棄権せざるを得ないなど、本来の力を発揮できず長く苦しみ続けてきたジョコビッチ選手が、とある医師のアドバイスを基に「グルテンフリー(グルテンを抜く食事)」に切り替えたところ、それまでの不調感が嘘のように消え、体調回復とともに本来のパフォーマンスを発揮できるようになったそうです。
彼の不調の原因は「グルテン不耐症」だったのです。今では、レディー・ガガやミランダ・カーをはじめ多くのセレブが実践するようになり、グルテンフリーが大変注目されるようになってきました。
最初、グルテンフリーは、「グルテン不耐症」や「セリアック病」などの「グルテン関連疾患」を患う人のための食事方法でしたが、体調が優れない人がグルテンを抜いた食事を実践したところ、数々の不調がすっきりと解消する人が続出してきたからです。
グルテンとは?小麦のこと?
いったいグルテンって何のことでしょうか?小麦のことでしょうか?
グルテンは、私たちが日常口に入れているたくさんの食べ物の中に含まれています。 お菓子やパンやパスタ、うどんなどの主食はもちろん、餃子やシュウマイの皮、フライや天ぷらの衣にも含まれています。
というと、グルテンは小麦のことかと思いますが、正確には、グルテンは小麦そのものをさすのではありません。
グルテンとは、小麦、大麦、ライ麦などの麦類に含まれるタンパク質のこと。小麦の中には様々なタンパク質が含まれており、その中でも大半を占めるのがグリアジンとグルテニンというタンパク質です。
小麦粉に水を加えてこねるとグリアジンとグルテニンが結びつき、グルテンという成分ができます。 このグルテンがパンやうどん、お菓子を作る時に生地のまとまりを良くしたりもちもちとコシのある食感を生み出します。
でも、ここで疑問がおこりませんか?
グルテンってそんなに体に悪いものなのでしょうか?
グルテンってなぜそんなに体に悪いの?
小麦の栽培が始まったのは約1万年前と言われており、以後世界各国で主食として食べられてきました。
もし本当にグルテンがそんなに体に悪いものなら、小麦を主食とした文化が世界中に広まりませんよね? 小麦のグルテンの害がいわれはじめたのは、最近です。
その回答として。
「現在の小麦は、品種改良されたもので、昔の小麦とはまるで別の作物である」
というもの。
本来、小麦は秋に種をまく冬小麦が基本でしたが、品種改良によって春に種をまいて夏に育つ小麦が開発され、収穫量が激増しました。さらに、農薬や、輸出時のポストハーベストなど、現代の「改良小麦」は品質の低下により体に有害なものになっています。
2.グルテンが健康を脅かす3つの理由
品質が低下した改良小麦のグルテンは、どうして私たちの健康に有害なのでしょうか?
①糖質成分が血糖値を急激に上昇させる
改良小麦に含まれているデンプン質の「アミロペクチンA」は、消化されるのが大変早く急速にブドウ糖に分解されます。このブドウ糖が血液中に吸収されると血糖値が一気に跳ね上がり、インスリンが大量に分泌されブドウ糖を脂肪に変えて細胞にとりこむようにはたらき、体脂肪が蓄積しやすくなるからです。
②グルテンに強い依存性がある
改良小麦に含まれているグルテンは、ある種の中毒症状を引き起こすことがわかっています。
③グルテンが腸から吸収され、さまざまな免疫異常を引き起こす
小腸に「腸もれ」があると、グルテンのような未消化のタンパク質が血液中に入り、体の中で白血球の攻撃を受け、様々な炎症が発生し、あらゆる不調の原因となっています。
とりわけ、グルテンは人間が本来持っているタンパク質と構造が似ているため、免疫システムが間違って自分の組織を攻撃してしまうような事態(自己免疫疾患)が起こりがちです。
また、グルテンに含まれるグリアジンたんぱく質には、小腸内で「ゾヌリン」という物質を放出させる作用があり、このゾヌリンの濃度が高くなると小腸粘膜胞の結合部分(タイト・ジャンクション)が緩んで、より穴があきやすくなるのです
3.グルテンの侵入が原因での病気とは
日本ではまだあまり問題になっていませんが、アメリカにおいては、すでに数多くの不調や病気が「グルテンの侵入と関係性がある」と言われています。
●グルテン不耐症
グルテン摂取によって心身にさまざまな不調が現れるアレルギー。アメリカでは2000万人以上いるとされています。
代表的な症状は、下痢、便秘、消化不良、吐き気、疲労感、肌荒れ、アトピー性皮膚炎、鼻炎、鼻づまり、ぜんそく、PMS(月経前症候群)、生理不順、集中力低下など。
●自己免疫疾患
自己免疫疾患とは、免疫システムが誤作動を起こして自分の体の組織を攻撃してしまう疾患です。
代表的な自己免疫疾患は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本病、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎など。
●セリアック病
グルテンによる自己免疫疾患の一種で、免疫システムが自身の腸粘膜を攻撃して破壊してしまい、最終的に栄養を吸収することができなくなってしまう。
●自閉症・ADHD・統合失調症など
グルテンに含まれる小麦ポリペプチドが、血液脳関門のバリアを通過して脳に侵入してしまうと脳にさまざまな影響を与えるといわれています。
4.グルテンフリーに2週間トライしてみる!
小麦のグルテンが不調の原因と疑われるのであれば、しばらくの間、小麦食品を一切食べないようにしてみる、すなわち「グルテンフリー」の食事を行ってみることをおすすめします。
期間は2週間。 トライしてみて体調がすこぶるよくなるようなら、グルテンが不調をもたらしていた可能性が大、ということになります。 そして2週間後に、ほんの少しだけパンやパスタなどの小麦製品を口にしてみて、再び具合が悪くなるようであれば、グルテン不耐症の可能性が高いということです。
日本人の主食である、米にもタンパク質は含まれていますが、そのタンパク質は不調症状を引き起こしたり、腸の粘膜を荒らしたりといった悪さをすることはないので、米を食べるのは大丈夫なようです。
まとめ
- 原因不明の体の不調の原因は「現代の改良小麦によるグルテン」だった。
- 腸もれにより、グルテンが体内に侵入することで、様々な病気を引き起こしていた。
- 治療対策としては、グルテンフリーにして米を食べるということと、腸内細菌を増やして、腸内環境を整えること。
出典:「隠れ病は「腸もれ」を疑え!」藤田絋一郎著(ワニブックス)
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