iPS細胞が実用化されるまでに細胞力を上げる対策!活性酸素除去は必須!
(2019.10.12ReWRITE)
ヒトの細胞数は約37兆個。私たちのカラダは、細胞の集合体であり、細胞力=生命力となるので、その「生命力の源」である細胞について詳しくご紹介していきます。
1.細胞は何をしているの?
細胞の6つの活動
細胞は、「核・細胞質・細胞膜」で構成され、基本構造としては6つの活動をしています。
- ミトコンドリア : エネルギーを生み出す
- ゴルジ体 : タンパク質を配送する
- リボソーム : タンパク質を合成する
- 核 : 遺伝子を保管する
- リソソーム : ごみを分解して捨てる
- 細胞膜 : 細胞の環境維持を行う
細胞の4つのはたらき
細胞の主なはたらきとしては4つあると言われています。
①「遺伝子からタンパク質をつくって運ぶ」
遺伝子は核に存在するDNAという長いヒモ状の中に記録されています。その遺伝子は体の設計図ともよばれ、とても貴重で重要な情報です。その遺伝子は核の中でコピーされます。
②「エネルギーを生み出す」
私たちが生きていくために必要なエネルギーは、細胞内のミトコンドリアでつくり出されます。肝臓や筋肉、神経のようなエネルギー代謝の盛んな細胞ほどミトコンドリアが多く存在しています。
③「ごみを分解して捨てる」
細胞内で不要になった物質を処分するのは、リソソームの直径0.4㎛ほどの小さな袋の中に取り込まれ分解されます。
④「恒常性を保つ」
厚さ0.01㎛以下の薄い細胞膜が、細胞内外の物質の出入りを調整して、細胞の中の恒常性を保っています。 正常な細胞のイオンバランスは、細胞外はナトリウムイオンが多く、細胞内は、カリウムイオンが多いこと。正常な細胞では、このイオンバランスを上手く保っています。
2.今さらながら【iPS細胞】について
iPS細胞は2006年に誕生した、新しい多能性幹細胞で、再生医療を実現するために重要な役割を果たすと期待されているものです。
分化して機能や形が決まった細胞を、胚盤胞やES細胞のようなさまざまな細胞になることができる状態にまで戻すことを「初期化」と呼び、初期化を起こすことのできる遺伝子を、京都大学の山中伸弥教授が発見しました。
遺伝子を初期化する能力をもつ遺伝子「Oct3/4」「Sox2」「Klf4」を自分の細胞から取り出し、自分の皮膚などの細胞に送りこんで培養することでiPS細胞を作り出すことができます。
このように、iPS細胞は、自分の遺伝子と細胞から作成することができるため、再生医療の実現に向けて研究が続いています。
現在の再生医療では
2013年に目の再生医療の研究が始まり、2014年には、実際の患者にiPS細胞を使った手術が行われ「加齢黄班変性」という病気の治療に成功しています。
今のところ、皮膚や角膜、血管、骨、軟骨、神経などが再生できる組織・器官として考えられていて、そのほか、パーキンソン病やアルツハイマー病、1型糖尿病、心筋梗塞、脊髄損傷、肝硬変などの病気や、歯の再生研究なども進んでおり、近い将来、永久歯が抜け落ちた後でも、自分の歯を取り戻すことのできる日が来るかもしれません。
細胞力の育て方:5つのポイント
iPS細胞の開発に期待したいところですが、いつになるのか…いくらかかるのか…それはまったくわからないので、今を生きる私たちが、まずできることは「自分の細胞力」を強く育てること この5つのポイントを毎日心がけることが大事ですね。
① バランスのよい食事をする
日々、細胞が元気よく働くためには、そのエネルギー源となる炭水化物・脂質・タンパク質・代謝を促すビタミン・ミネラルを含んだバランスのよい食事をとることが大切。
② ナトリウムとカリウムのバランスを整える
日本人の食生活は、ナトリウムを多く含む食塩の摂取過剰によって、イオンバランスが崩れやすい傾向にあるといわれているので、減塩の工夫をして、だしや薬味、香辛料などを利用したりしましょう。また、カリウムを積極的に摂取するためには、果物や生野菜などを摂取するように心がけましょう。
③ 不飽和脂肪酸を摂取する
細胞膜のリン脂質は、不飽和脂肪酸で構成されています。この細胞膜が酸化されると老化の原因になるので、これを防止するn-3系脂肪酸や、n-6系脂肪酸を摂取することが有効です。まぐろ、いわし、さんま、さばなどの魚類やオリーブ油、ゴマ油、シソ油、グレープシード油などの植物油に多く含まれています。
④ 活性酸素を除去する
活性酸素から細胞を守るためには、抗酸化作用のあるビタミンA・C・Eの摂取や、ミネラル豊富なナチュラルミネラルウォーターを飲むことが大切です。
⑤ NK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化させる
NK細胞は、細胞のガン化やウィルス感染などによって、体内に異常な細胞が発生したときに、それらを攻撃する初期防衛機構として働きます。NK細胞を活性化させるためには、笑いの溢れる生活や、良質な睡眠を心がけましょう。
3.活性酸素について
細胞の一つひとつは細胞膜に包まれていますが、その細胞膜に含まれている油分は酸化されやすい性質があります。その原因としては、酸化力の強い活性酸素によって、細胞膜の油分が過酸化脂質に変化するから。これがいわゆる「細胞がサビて老化する」という現象です。
細胞に、この現象(サビて老化する)が起こると、体のいろいろな機能を低下させると同時に、様々な病気を発症する事になります。
分かりやすく言えば、酸化とはリンゴやバナナを切ってそのまま置いておくと酸素と反応し、表面が茶色というか褐色になる現象で、これと同じことが人の細胞でも起こっているのです。これが活性酸素による「老化」という現象です。
活性酸素の発生源
体内で発生した活性酸素が体を酸化させることで、体のいろいろな機能を老化させ、お肌のシミ、シワの原因を作ったり、細胞のDNAを傷つけて皮膚ガンを引き起こしたりします。
【活性酸素が発生する原因の一例】
- 紫外線
- 大気汚染・排気ガス
- 電磁波
- 食品添加物
- 残留農薬・化学肥料
- 医薬品
- 過酸化化合物
- タバコ
- 睡眠不足
- ストレス
- 体の冷え
年齢とともに低下する体内の活性酸素消去能力
もともと私たちの体内には過剰に発生した活性酸素を除去する「抗酸化機能(スカベンジャー)」が機能しています。
しかし年齢が30歳代になってくると、体内に備わっているスカベンジャーが低下し、活性酸素の影響をモロに受けやすくなってしまいます。
処理能力を超えた活性酸素が体内で発生してしまうと、体内の細胞を傷つけてしまい生活習慣病の原因を作り出したり、女性にとってはホルモンバランスが乱れ、お肌のターンオーバーサイクルが不安定になり、シミやシワなどの肌トラブルを発生しやすくなります。
そのため若々しいお肌を保つためには、この活性酸素の発生をいかに抑えるかが重要なのです。
体内に備わっている抗酸化酵素だけでは対処できない
活性酸素には4つのタイプがあります。
- スーパーオキシドラジカル
- 過酸化水素
- ハイドロキシラジカル
- 一重項酸素
その中に一つだけ体内の抗酸化酵素が効かない活性酸素があります。それが一重項酸素(いちじゅうこうさんそ)です。
この活性酸素は紫外線が肌に当たることで大量に発生し、シミやソバカスなどを作る一番やっかいな活性酸素です。
紫外線は活性酸素の一種である一重項酸素を大量に発生させる事が分かっています。
紫外線の光刺激により皮膚や目に発生し、皮膚を形成しているタンパク質(コラーゲン・エラスチン)や脂肪を酸化、変質させます。お肌の表皮と真皮の間には、メラノサイトという色素をつくる細胞がありますが、紫外線が皮膚の組織まで入り込むと、水分と反応して一重項酸素が発生し、メラノサイトが刺激されます。
刺激されたメラノサイトは、紫外線からくる活性酸素のダメージを防ごうと、メラニン色素を作り始めます。実際、紫外線はお肌の真皮層にまで届きますので、紫外線を長く浴び続けますと、発生する一重項酸素によって新しい細胞をつくる層がダメージを受け、なかなか新しい細胞がつくられにくくなってしまいます。
するとメラニン色素は皮膚の外側に移動しにくくなり、結果としてその部分に居座ることになり、この事がシミやソバカスの原因となります。
まとめ
- iPS細胞(多能性幹細胞)とは、遺伝子を初期化する能力をもつ遺伝子を自分の細胞から取り出し、自分の皮膚などの細胞に送りこんで培養すること。
- 細胞力を高めることで生命力も高めることができる。
- 細胞膜に含まれている油分が活性酸素により酸化されること=細胞がさびて老化するということ。活性酸素の除去が重要。