自律神経は心身を安定させるための重要ファクター!!【交感/副交感神経】
とても悲しいことですが、自律神経そのものも加齢とともにパワーダウンしてきます。昼間の交感神経・夜間の副交感神経がきちんとはたらいてくれないと、アンチエイジングホルモンも出づらくなり、老化が加速していくことに。自律神経の働きを整えることは、毎日を笑顔で過ごすためにも、とても重要。自律神経ケアについてもご紹介します。
1.自律神経について
自律神経は自分の意思でコントロールできない内臓や血管、内分泌腺などを自動的に動かす神経のこと。 眠っている間にも心臓が拍動し、食べ物を消化したり、呼吸したり、体温調節できるのは、自律神経が意識を介さずつねに働いてくれているから。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、ひとつの器官に対して相反する作用をします。例えば、交感神経が優位になると心拍が速くなり、血管が収縮して、興奮状態になります。また、副交感神経が優位になると、心拍がゆっくりとなり、血管が拡張、リラックス状態になります。
健康な状態では、どちらかが20~30%ほど優位になる状態をシーソーのように繰り返し、体内バランスを保っています。
●活動の交感神経
昼間、体を活動させるときに働く神経。「逃走と闘争の神経」ともいわれ、心身が興奮するとき、緊張しているときなどに、エネルギーを出す指令をする神経。
●休息の副交感神経
日没から徐々に優位になり夜間、体を休めるために働く神経。食後は消化を促すため副交感神経が優位になります。エネルギーを蓄え、次の活動に備えるための神経。
交感神経 |
副交感神経 |
|
心拍数 |
速い |
ゆっくり |
血圧 |
上昇 |
下降 |
血管 |
収縮 |
拡張 |
瞳孔 |
拡大 |
縮小 |
筋肉 |
緊張 |
弛緩 |
消化 |
抑制 |
促進 |
発汗 |
促進 |
抑制 |
膀胱 |
拡張 |
収縮 |
子宮 |
収縮 |
弛緩 |
2.自律神経も老化するから!!
自律神経はホルモンと並ぶ心身の2大制御機構のひとつ。鼓動や血圧、体温など、生きていくうえで必要な機能のすべてのコントロールを司っています。
体を修復・再生する成長ホルモンやメラトニンといったアンチエイジングホルモンも、自律神経の協力なくしては、思うように体内をめぐることができません。 睡眠中に血管を弛緩させる副交感神経が優位になることで血液がスムーズに流れ、アンチエイジングホルモンも全身に行き渡ることができるのです。
ただ。残念ながら、自律神経も老化します。
自律神経全体のパワーが落ち、交感神経と副交感神経のバランスが乱れます。特に40代以降は副交感神経が低下しやすく、交感神経が過度に優位な状態になりやすくなります。
また、自律神経をコントロールしている脳の視床下部は、ホルモン分泌の中枢でもあるため、エストロゲンが急減する更年期には自律神経のバランスがくずれやすくなります。 のぼせ、動悸、発汗、めまい、イライラ、落ち込みといった更年期症状は、自律神経失調症状といえます。 自律神経の働きを整えることは、毎日を笑顔で過ごすためにも最優先課題です。
3.注意すべき交感神経・副交感神経
●交感神経と副交感神経のバランスが大事
自律神経のバランスは免疫機能のバランスにも影響を与えます。交感神経が優位のときは細菌と戦う顆粒菌が増えますが、交感神経が優位になりすぎて顆粒菌が増えすぎると、自分自身の組織を攻撃し、フリーラジカル(活性酸素)を発生させます。
一方、副交感神経が優位のときは、ウイルスやガン細胞と戦うリンパ球が増えますが、副交感神経が優位になりすぎて、リンパ球が増えすぎると、風邪やアレルギーを引き起こしたり、ガン細胞が増えやすくなります。
●特に40代以降の女性に注意!!
交感神経はまだパワーが保つことができるのですが、副交感神経はダメージを受けやすい神経で、パワーレベルでいうと、20代を100とすると、30代で2割、40代で3~4割、50~60代では半分くらいまでレベルダウンします。
40代以上の女性は、女性ホルモンの減少もあり、自律神経が乱れやすくなっています。交感神経が優位になりすぎて、眠れなくなり疲労感がたまり、片頭痛や胃腸の不調などでイライラすることが多くなります。 逆に、だるくてダラダラしてしまうのは、自律神経のトータルパワーが下がって副交感神経が優位になりすぎている証拠。 さらに進むと、鬱っぽい状態にもなります。
つまり、副交感神経が優位になりすぎると、やる気が起こらず、活動も低下し、気持ちも内臓もだらけたままという状態が続いてしまいます。
●メリハリのある生活を心がけて!
自律神経のパワーを底上げし、バランスよく働かせるためには、メリハリのある規則正しい生活を心がけることからはじめましょう。
自律神経は体内時計と一緒に変動します。朝日とともに交感神経が優位になり、夕食時あたりから副交感神経が優位になるので、不規則な生活を続けると、ホルモンバランスまで乱れてしまいます。 ストレスホルモンのコルチゾールが出て、老化を防ぐホルモンのDHEAが浪費されて、フリーラジカルも大量発生してしまいます。
昼間の交感神経・夜間の副交感神経がきちんとはたらいてくれないと、アンチエイジングホルモンも出づらくなり、老化が加速します。
4.自分でできる自律神経ケアをご紹介
●なんだか鬱っぽい…とき
→ 鬱っぽいときは、バランスが乱れているだけではなく、自律神経そのもののパワー自体の落ちている証拠。 対策としては、太陽が出ている時に、散歩するとか簡単なリズム運動で体を動かしてみましょう。交感神経と一緒に自律神経のトータルパワーもアップして、夜になると自然に副交感神経が優位になってきます。
また、「笑う:Smile」は効果絶大!! 笑うことで、自律神経のバランスを整えてくれるのです。
これは作り笑顔でも効果があることが証明されていますので、気持ちが塞いでいるときほど、鏡の前でにっこり笑顔を作ってみてください。脳が楽しいことがあると勘違いして、セロトニンやエンドルフィンといったハッピーホルモンの分泌を促してくれます。
●肩こりや腰痛がひどい…とき
→ 肩こりや腰痛が慢性化している人は、交感神経過多で体がこわばっている証拠。筋肉をのばすと副交感神経が優位になるので、ストレッチを習慣づけるようにしてください。特に、背骨をのばすと、脊椎の毛細血管が流れやすくなり、自律神経の働きがよくなります。筋肉を伸ばしている時に、ゆっくり息を吐き出すようにして、呼吸と一緒にストレッチをしてみましょう。
●眠りたいのに、眠れない…とき
→ 夜、ベッドに入ってもいろいろ気がかりなことがあってなかなか眠れないという人は、負の感情にとらわれて、交感神経が高くなってしまっている状態です。「寝れなくてもいいや!」と開き直った気持ちで、負のスパイラルをすぱっと断ち切って、呼吸に意識を集中してみてください。
自律神経のバランスを整えるうえで、最も有効な手段は呼吸法です。ポイントは腹式呼吸。横隔膜を大きく動かすことで、副交感神経のスイッチが入りリラックス状態に入るからです。
●まったくやる気が起きない…とき
→ 加齢とともに、自律神経そのもののパワーが落ちてくるので、やる気がおきず何をするにもおっくうになるのは、ある程度仕方のないこと。そんなときは、その現実を受け入れた上で、ここはちょっと頑張って、ポジティブシンキングのスイッチを入れてみて。 脳の錯覚効果を利用して、イメトレとご褒美のセットで、自分の脳をポジティブ状態にすりかえていきましょう!
具体的な方法としては、今、やるべきことを書き出してみて、そこに意味合い(価値)をつけてみる。それは人の役に立つことである、とか、自分がすっきりして気持ちが晴れるから、前からやってみようと思ってた、とか。そこに過去の成功体験があれば、その時のポジティブな自分を思い出して、よかった点を書き出してイメトレする。 もし新たな経験であれば、成功した場合の自分を想像してイメトレする。 そこに、自分でご褒美を設定してドーパミンなどの自分の脳内ホルモン分泌を促して、取り組んでみましょう。