腸内環境を改善する為に知っておくべき基礎知識!腸に関する3つのポイント
NHK特集でも大反響を呼び、これからは腸の時代の到来!!ともいわれていますが、腸についてわかっていることはまだほんの数%だそうです。インナーケアラボといたしましては、現在わかっている【腸内環境を整える】最新情報をシリーズでご紹介していきます。
1.腸についての知識編
栄養素をカラダに摂取
私たちは生命を維持するために、食べ物から体のもととなる材料や生命のエネルギー源を取り込んでいます。しかし、私たちが食べたご飯やお肉などは、そのままでは体内で栄養素に変わらず、吸収されません。
食べ物の大半は糖質やタンパク質、脂質であり、これらは複雑な構造をした大きな分子からできているために、口から入った食べ物は唾液や胃液、膵液、胆汁などの連携プレーによって少しずつ消化を進めていきます。そして、小腸で消化の最終工程を終え、必要な栄養素だけを吸収します。
小腸の機能って
胃に近いところから順に、十二指腸・空腸・回腸…これらをまとめて小腸と呼び、成人では約6~7mもの長さがありますが、腸管の筋肉により、2~3mほどに収縮されています。主に栄養素の最終的な消化・吸収と免疫を担っています。
では。空腸と回腸ってどう違うのかおわかりでしょうか?(私は違いがよくわかっていませんでした)
ざっくりいうと。
その区別と名称にしては、空腸は食べ物の通過が早く空っぽのことが多いから、また、回腸はくねくね回るような見た目からその名前が付けられたといわれています。でも、空腸と回腸には明瞭な境界はなく、十二指腸を除く小腸の前約2/5が空腸、残りの約3/5が回腸です。
また、構造上や役割でも違いがあります。
空腸は筋肉量が多いため、内容物を勢いよく前に進めることができ、絨毛が密に存在しているため、分泌される終末消化酵素の活性も高く、効率よく消化吸収を担う中心的な存在です。
それに対して、回腸は絨毛が粗く存在します。また、筋肉量が少ないために内容物の流れが緩やかで細菌が定着しやすいので、腸管特有の免疫組織が発達しています。
2.腸管免疫システムとは
腸には、人体最大の免疫系器官があり、全身の免疫細胞のうち、実に60~70%が小腸の腸管(特に回腸から大腸にかけて)に集中しています。
腸管というと、食べ物を消化・吸収する場所と思いがちですが、食べ物と一緒に体の中に入ってきた異物(体に有害なウイルスや病原菌)が栄養素と一緒に紛れて体内に侵入しないように徹底した警備で自己防衛する働きも担っています。
この防衛システムのことを『腸管免疫』といいます。
ところで、よく聞く言葉で『免疫力』というものがありますが(端的に説明しろといわれるとなかなか難しい言葉ですが…)
一言でいうと。
免疫とは自己と非自己を認識し、非自己を排除することで病気から免れること です。
例えば、食べ物に紛れ込んだ異物をどうやって排除するのか?
その高度かつ最強システムとは…
免疫最強システム:パイエル板
小腸は絨毛で覆われていますが、その所々に絨毛がなく、へこんだ平らな部分があります。ここを『パイエル板』と呼び、このパイエル板は、樹状細胞・T細胞・B細胞などの免疫細胞が集まった腸管特有のリンパ組織で、いわば免疫細胞の基地といえます。
腸内からパイエル板をみると、まるでマンホールの入口のようであり、病原菌が容易に侵入できるようになっていますが、これが巧妙な≪わな≫のような役割を果たしています。
パイエル板の上皮にはM細胞があり、表面に出ている「GP2」というタンパク質が敵であるサルモネラ菌などと結合し、そのまま細胞内に取り込みます。そして、樹状細胞が細菌を受け取って分解し、敵の断片をT細胞に提示します。すると、ヘルパーT細胞が活性化され、B細胞にその敵に対抗する抗体をつくるように指令を送り、IgA(免疫グロブリンA)が作り出されます。
IgAは腸内に分泌され、常に腸内の状態を監視し、かつ増えすぎた細菌を体外へ排出してくれます。
このように、腸管の最強免疫部隊は、それぞれに役割と持ち場が決まっていって、見事な連携プレーで抗体という武器を生み出し、敵(異物)と戦っているのです。
3.腸内細菌についての入門編
私たちの腸の中には、たくさんの細菌(バクテリア)が棲みついていて、これらの細菌(バクテリア)が働きや性質の似た菌同士で集団(コロニー)をつくり、さまざまな働きをしていることが分かってきました。
腸内は細菌の宝庫
地球上には、無数の微生物(細菌・バクテリア含)が存在しています。その中で、生活している私たち人間は、これらの微生物の影響を受けずに生きていくことはできません。
事実、私たちの腸管、主に大腸には、腸内細菌と呼ばれるバクテリアが腸壁を覆うように生息していて、その数なんと約200種類100兆個以上、重さでいうと約1.5kgともいわれています。
そのほかにも細菌は、皮膚や咽喉、膣(女性)などにも存在しているため、体全体の細菌の重さだと男性約2kg、女性約2.5kgにもなります。
この腸内細菌が私たちの体の中に入り、献身的に働いてくれるおかげで、私たちは健康を維持することができます。私たちは、一生涯、人生をともに生きていくパートナーである腸内細菌とうまく共生することが大切なのです。
腸内細菌の数は、個人では約100兆個。人間の細胞の数は、約37兆個。…つまり、私たち人間を構成する細胞数より、はるかに腸内細菌数の方が多いのです。 したがって、腸内細菌達の働き次第で、私たちの健康は左右されるといわれています。
まとめ
- 栄養素の最終的な消化・吸収と免疫を担っているのが小腸。
- 空腸は、小腸の前約2/5、回腸が残りの約3/5をいう。(十二指腸は除く)
- 腸には、人体最大の免疫器官があり、全身の免疫細胞のうち60~70%が小腸の腸管(特に回腸から大腸にかけて)に集中して存在する。
- 主に大腸に生息する腸内細菌は、約200種類100兆個以上、重さでいうと約1.5kg
- 腸内細菌が献身的に働いてくれるおかげで、私達は健康を維持することができる。