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便秘は病気じゃない!加齢とともに便秘しやすくなる! 直腸性便秘の悪化は

便秘といえば、女性のお悩みの代名詞のようですが、「私は、昔から便秘だしー」となどと侮っていたら、後で大変なことになるかも…!? 生活習慣を見直して、便秘を改善する対策をはじめましょう。



1.便秘の定義


便秘は病気ではなく、症状です。排便回数には個人差もあり、1日3回から3日に1回までの排便は、正常な回数です。女性の場合は、月経前には便秘になりやすいし、環境が変わった時には便秘になったりすることも多く、毎日排便がなくとも、不快感がなければ、便秘ではありません。




便秘の国際的な定義


 下記6項目のうち、2つ以上が当てはまると【便秘】


  • 強くいきまないと便が出ない
  • 便が硬い
  • 詰まった感じがする
  • 自発的な排便が週3回未満
  • 残便感がある
  • 手でかき出さないと出ない



男女ともに60歳以降に便秘になる人が増加します。これは、加齢とともに食事バランスが変わり、内臓や腸内活動が低下すること、腹筋が衰えて便を押し出す力が弱まること、便器を感じる感覚が変化することなどが主な原因とされています。 


また、女性の場合は、骨盤底筋の衰えが関連していると考えられています。



2.便秘の種類


○便秘のタイプのチェック表

□便通は週2回以下
□1週間近く便が出ないときもある
□下剤を使わないと便が出ない
 
弛緩性便秘 かも


□お腹の張りとともに痛みがある
□突然、強い便意に襲われることがある
□便秘と下痢が交互に起こる
 
ストレス性便秘 かも


□食物繊維をたくさんとっても便通がよくならない
□強くいきまないと便が出ない
□排便後も残便感がある
 
直腸性便秘 かも



腸の蠕動運動が鈍くなる・・・『 弛緩性便秘


便の材料となる食物繊維の不足、運動不足が原因で、大腸の蠕動運動が鈍くなり、便が通過するのに時間がかかります。 何日も便が出ない、など排便回数が少ないことが特徴です。



ストレスによって腸の動きが過敏になる・・・『 ストレス性便秘


ストレスによって自律神経が乱れ、大腸の一部が痙攣したり、感覚が過敏になって現れる便秘。医学的には、過敏性腸症候群に含まれ、便秘と下痢を繰り返す人もいます。



便が出にくくなる・・・『 直腸性便秘


食物繊維が豊富な食事を摂っているのに改善しない場合に多く、便が直腸に到達していながら、排便できないケース。便意を感じにくくなったり、便を押し出す力が低下するなど、いきんでも便が出にくくなります。 腹筋の衰えや、肛門がうまく開かないなどの原因のほか、閉経以降の女性の場合、骨盤底筋や膣の緩みがもとで直腸性便秘になるケースが多い。



骨盤提琴が緩むと、子宮や直腸が下垂して直腸性便秘を招きやすくなります。便が出ない、と強くいきむと、緩んだ膣内に子宮が落下する“子宮下垂”、膣外に子宮が飛び出す“子宮脱”を招くことも。すると直腸も下がってきてしまうので、お尻に負担をかけない排便習慣を心がけましょう(婦人科医:松峯寿美先生)


3.直腸性便秘に関連するトラブル


直腸瘤  RECTOCELE


直腸瘤とは、直腸にできたポケットのこと。排便時にいきんだときに、弁が肛門の方に下りて行かず、緩んだ膣壁に向かってせり出していき、腸の一部にポッコリとしたふくらみが作られてしまうこと。


直腸瘤ができてしまう原因は、女性の骨盤内が男性よりも広いこと、直腸と隣り合わせにある膣壁が、加齢とともに衰えていくことにあります。


女性の骨盤底筋には肛門、膣、尿道口という3つの穴があり、その中で一番緩みやすいのが膣。特に出産経験がある人は膣が緩みやすいのですが、出産経験がなくても、女性ホルモンの減少とともに膣が緩むのは避けられません。 


加えて、子宮や直腸を支える組織も衰えるため、子宮、膀胱、直腸が本来あるべき位置から下垂していきます。すると、直腸の一部が子宮側に傾いて、膣壁に瘤のように突き出る直腸瘤を引き起こしてしまうのです。その際、子宮が膣内に落下する“子宮下垂”、膣の外に飛び出す“子宮脱”を合併するケースもあり、場合によっては、直腸瘤が膣の外に出てきてしまうケースも。これは、骨盤臓器脱と呼ばれ、60歳以降の女性約2割が経験するといわれています。


(左)直腸瘤を横から見た場合       (右)直腸瘤のある膣の内側


直腸脱  RECTAL PROLAPSE


直腸性便秘がもとで女性に起こりやすいのは“ 直腸重積(ちょくちょうじゅうせき) ”と“ 直腸脱 ”などのトラブル。便が出ないから、と強くいきむ習慣によって、直腸の出口の近くで直腸の壁が内腔にめりこんで重なる“重積”が起こります。


これは、骨盤底筋や周囲の支持組織が衰えたことによって、直腸自体が下がってしまうことが原因。いきんでも肛門がなかなか開かないため、腸の中に腸がめりこんでしまうのです。


重症化すると、体内で重積した部分が肛門の外に飛び出す直腸脱を招く心配があります。いきめばいきむほど、緩んだ骨盤底筋にさらに負担がかかり、直腸が下がってきてしまうのです。 


直腸重積がある人の場合、便がスムーズに出ない、残便感がある、肛門のあたりで引っかかるというのが主な訴え。直腸脱を予防するためには、便秘薬で排便をコントロールしながら、強くいきまないようにというのが、医療機関からの指導になります。


直腸脱になると、直腸が肛門から出たり入ったりするのを繰り返したり、10cm位出たままになることもあります。主に、70代以降の女性に多い骨盤底疾患で、40~50代の女性が発症するのはまれですが、長年の便秘歴がトラブルを招く可能性があるということを十分に理解して、早めに便秘解消対策をとっておくことが必須です。



4.便秘すっきり解消対策


①食物繊維をしっかりとる

食物繊維は便のかさを増やして、腸の蠕動運動を活発にする働きがあります。また、水分を含む性質があり、便をやわらかくしてくれるので、積極的に食べましょう。


②朝一杯の水と朝食で腸を目覚めさせる

寝起きにコップ一杯の水を飲むと、胃が結腸に指令を出し、消化管が動き出します。この胃結腸反射を毎朝の習慣にすると、条件反射で便意を感じやすくなるのでおすすめです。


③腸腰筋を動かすと腸の運動が活発に

腸の蠕動運動を促すには、腸腰筋を動かすのが効果的。腸腰筋は上半身と下半身をつないでいるインナーマッスルで、ちょうど左右の腰骨のあたりにあり、内側には結腸があります。腸腰筋をマッサージすることで結腸が刺激されて、蠕動運動を起こしやすくなります。その際に、ウエストを左右にねじってみてもいいでしょう。


④適度な油分が排便時の潤滑油になる

良い便を出すためには、水分補給とともに、良質な油分の摂取が欠かせません。なかでもおすすめはオリーブオイル。分解吸収されずに肛門まで届いた油分が潤滑油の働きをするから。オリーブオイルに含まれるオメガ9系脂肪酸のオレイン酸をとると、便の移動と蠕動運動を促す効果もあります。


⑤入浴でリラックス&血行促進

腸のはたらきをよくするには、副交感神経が優位になるようにリラックスするのが一番。ゆっくりと湯船につかって入浴するのが効果的。便秘の人は体が冷えていることが多いので、入浴して冷えがとれると血行が促進され、腸のはたらきもよくなります。


⑥良質な睡眠で生活リズムを整える

腸と自律神経はとても密接な関係にあります。人が活動する昼間の時間帯は交感神経が優位で、腸の働きが抑えられていて、就寝中の副交感神経が優位な時間帯には、消化・吸収する働きや、蠕動運動が促進されるというサイクルがあります。便秘を改善するためにも、体の活動にスイッチを入れる交感神経と、リラックスを促す副交感神経が規則正しく切り替わるように、生活リズムを整えることが必要です。



田和璃佳<日本美腸メソッズ協会代表>

田和璃佳<日本美腸メソッズ協会代表>

美腸カウンセラー®/美腸をつくるたった2つの習慣で、免疫力up・美肌get・ヤセ菌増やして痩せやすい体を手に入れるoriginal『美腸Methods®』を全国に展開。 【藤田絋一郎先生(東京医科歯科大学名誉教授)監修】
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