たんなる頭痛ですまされない!企業にとって『慢性頭痛』も立派な損失リスク
病院で診断を受けても、大きな病気が隠れているわけではないのに、くり返しおこる「慢性頭痛」。国内で慢性頭痛でお悩みの方は4000万人もいるといわれています。
企業にとって人材は「人財」。入院・治療・完治・復帰の短期損失で終わらない、長期にわたる「慢性頭痛」は長期リスクととらえる企業も増えてきました。まだまだ優先順位の低い「健康経営」ですが、今後シリーズでお伝えします。初回は、「慢性頭痛」についてまとめてみました。
1.慢性頭痛は3タイプ
慢性頭痛の種類は、3タイプに大別されます。
片頭痛
何らかの理由で脳の血管が急激に拡張して起きる。こめかみから目のあたりが、月に数回、脈打つ痛みが発作的におこるのが特徴。吐き気や嘔吐を伴い、光・音・気圧や温度の変化に対して敏感になることも多い。20代~40代の女性に多く、個人差があるが、1ヵ月に1~2度、多い人だと1週間に1度などのペースで周期的に痛みが起こる。体を動かすことで痛みが増すため、日常生活に支障を来たすこともある。脳の血管が拡張することで、周囲の三叉(さんさ)神経を刺激し、刺激で発生する炎症物質がさらに血管を拡張するのが原因といわれている。
●対処法●
1)頭痛の誘発食品を控える
チョコレート、チーズ、ハム(亜硝酸塩が関与)、ヨーグルト、赤ワインなど片頭痛を誘発するといわれる食品の摂り過ぎには注意しましょう。
2)冷やすのは○、温めるのは×
冷たいタオルなどを痛む部位に当てると、血管が収縮して痛みの軽減に役立ちます。一方、入浴やマッサージなどは血管を拡張させるので痛みが増すことになり逆効果に。
3)静かな暗い場所で休む
頭痛の最中に体を動かすと痛みが増し、光や騒音でも痛みはさらに増してしまいます。できるだけ、静かな暗い場所で横になりましょう。
4)カフェインを適量
コーヒー、紅茶、日本茶に含まれるカフェインは血管を収縮する作用があり、痛みの早期に飲むと痛みが軽減します。ただし、飲み過ぎには注意。
緊張型頭痛
一番多い頭痛。目の疲れなどからはじまり、頭全体、もしくは後頭部から首にかけて締めつけや圧迫感があり、ズキズキする感じがないことが特徴。頭の横の筋肉や、肩や首の筋肉が緊張することで起きる。 筋肉の緊張で血流が悪くなった結果、筋肉内に老廃物がたまり、その周囲の神経が刺激されて起きる痛み。原因は、精神的・身体的ストレスであることが多く、PCやスマホなどの使用で長時間同じ姿勢を継続すること、疲労による筋肉の緊張、血管の圧迫などによって発症するといわれている。また、筋肉の緊張ではなく、うつ病など心の病気が原因となることもある。
●対処法●
1)長時間同じ姿勢をとらない
姿勢を正して、同じ姿勢で長時間の作業をしないようにしましょう。
2)肩、首をあたため血行をよくする。ストレッチをする
マッサージ、蒸しタオル、半身浴などで温めて、首、肩の筋肉のこりを取り、血行をよくしましょう。下のストレッチも有効です。
☆ 両肩を上げてストンと落とす
(両肩をキュッと上げて、ストンと落とします。) ☆ 首を左右に倒す (左手を頭にのせて、右肩の力を抜いて左側へゆっくりと首を倒します。反対側も同様に。) ☆ 前屈(両肩の力を抜いてリラックスしながら、上半身を前にゆっくりと倒します。) |
3)枕の高さを調整
高すぎる枕、柔らかい枕は首の負担になり、筋肉を緊張させる。高すぎず、柔らかすぎない自分に合った枕を選ぶことで予防ができます。
4)ストレス回避
ストレスが原因になることが多いので、環境を変えるなど気分転換をするようにしましょう。
群発頭痛
20~40代の男性に多く発症。目の奥がえぐられるような激痛が数時間つづく。毎日ほぼ同じ時間帯に、一定の周期で激しい頭痛の発作が現れるのが特徴。特に睡眠後の夜間に起こることが多い。原因は不明点が多いが、脳の視床下部という場所に関係しているといわれている。視床下部が刺激されると、頭部の目の奥の辺りにある三叉(さんさ)神経が痛みを感じるため、三叉神経の辺りの血管が拡張され、三叉神経がつながっている目の奥の辺りに激痛が起こる。原因としては、アルコールの過剰摂取やタバコ、気圧の急激な変化、不規則な時間帯の睡眠だといわれている。
2.損失額を数値化
2018年、健康経営に力を入れる富士通と国際頭痛学会が共同で行った「頭痛プロジェクト」で、従業員が受けた健康診断の結果により、頭痛で悩む人数やそれに伴う損失額を計算した。
従業員2458人の結果から、片頭痛がある人は、17%。緊張型頭痛がある人は57%。頭痛がまったくない人は、15%。
この数値から試算すると、同社グループ約13万人のうち、少なくとも10万人に何らかの頭痛があることになる。
普段の仕事の生産性を100%とすると、片頭痛が出ると、53%。緊張型頭痛の場合は、80%に生産性が低下する計算になる。厚生労働省のデータを基に影響額を試算すると、年間の損失額は、片頭痛の従業員1人あたり25万円。緊張型頭痛では1人あたり6万円と計算された。
これからの企業経営には、従業員の健康管理もふくめた「健康経営」が必須になりつつありますね。
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