PCR検査・抗原検査・抗体検査の違いがよくわからないのでまとめてみました
新型コロナウイルス感染の有無を調べる検査が多様化しています。これまではPCR検査が中心でしたが、簡単なキットで短時間で検出できる「抗原検査」「抗体検査」もあります。私自身がまだその違いをうまく説明できないため(;´∀`) 備忘録としてもそれぞれの検査と特徴をまとめてみました。
1.3種類の検査の違い
●PCR検査:鼻の奥を綿棒でぬぐい採取した検体の中に、新型コロナウイルス特有の遺伝子が含まれているかどうかを調べる。精度は高いが、検査には最長6時間かかり、本人に結果が通知されるのは、検体採取の数日後。検体採取のしたときに、採取者がくしゃみを浴びて感染するリスクがある。
●抗原検査:ウイルスの表面や内部あるタンパク質「抗原」の有無を調べる手法で、インフルエンザの検査などで広く実用化されている。新型コロナ特有の抗原のみに結合するタンパク質を使い、抗原があるかどうかを調べる。30分程度で結果が出るが、感染の初期などでウイルス量が少ないと検出できないことがあり、PCR検査より精度は低い。
●抗体検査:検査キットの穴に血液をたらし抗体の有無を調べる。感染歴はわかるが、体内にウイルスが残っているかどうかまではわからない。感染初期は抗体を検出しにくい。
抗体とは、病原体の侵入に反応して体がつくり出すタンパク質のこと。体を病原体から守る「抗体」をつくる能力が高いと、感染リスクは低くなる。このタンパク質は、「免疫グロブリン」ともよばれ、体内にウイルスや細菌などの病原体が入ると、それを撃退しようと免疫反応がおき、病原体がもつタンパク質「抗原」に結合する抗体がつくられる。
新型コロナの抗体検査では、主に「IgM」と「IgG」の2種類の抗体の有無を調べています。
「Ig」は免疫グロブリン(Immunoglobulin)の略で、「M」や「G」はその種類を表します。
検査キットにはIgM用とIgG用があり、感染するとまず応急処置的にIgMが作られ、しばらくしてよりよく働くIgGがつくられはじめます。
国立感染症研究所が国内で市販されている検査キットを調べたところ、IgMかIgGが検出されたのは、発症1~6日目で7%、7~8日目で25%、9~12日目で52%、13日目以降で97%でした。
2.検査結果が続々と報告
慶応大病院(東京都新宿区)は抗体検査ではなく、PCR検査の結果で、新型コロナ以外の入院患者258人のうち、2・7%の7人から新型コロナの遺伝子が検出されたと発表しました。
大阪市立大は1日、市立大病院の新型コロナ以外の外来患者312人のうち、1・0%の3人から新型コロナに対するIgG抗体を検出したと発表しました。
神戸市立医療センター中央市民病院は2日、新型コロナ以外の外来患者1000人のうち3・3%の33人からIgG抗体を検出したと発表しました。
中央市民病院によると、今回の結果を神戸市民全体の約150万人にあてはめて、年齢や性別の分布に応じて調整すると、感染者は約4万人となり、同時期にPCR検査で感染が確認されていた神戸市民69人の約600倍になるという。
同病院の木原康樹院長は「我々が気づかないところでの不顕性(無症状)感染が相当あるのだろう。PCR検査で感染が確定したのは、ほんの一握りという可能性がある」と述べました。
それでも、感染率が数%の場合、ほとんどの人はまだ感染していないことになり、米ニューヨーク州は2日、住民約1万5000人のうち12・3%から抗体を検出したと発表しました。日本国内の3病院よりはるかに多い数です。
ある集団の中で大多数が抗体を持てば、爆発的な感染拡大は起きにくくなるが、大森亮介・北海道大准教授(理論疫学)は、「一般に、1%や3%は、流行が起きないレベルの抗体保有率にはほど遠い」と指摘、「今後、感染が一気に広がる恐れも十分にあり、警戒が必要だ」と話しています。
(出典:読売新聞5.15)