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血液を全身に循環させる不眠不休のポンプ『心臓』心臓病による突然死を防げ

最近では、20、30代の若い世代にも虚血性心疾患にかかる人が増えています。その最大の原因は、生活習慣の乱れだと言われています。1日に10万回拍動する命の循環装置である『心臓』について、改めてまとめてみました。



1.『心臓』が送り出す血液量


心臓について


心臓はハート形に似た円錐形をした筋肉で重さは約300g。左右の肺に挟まれ、胸の真ん中にある大動脈にぶら下がっていて、胸の中央からやや左寄りに位置しています。 




心臓には左右が完全に分離された4つの部屋があり、血液が逆流するのを防ぐ4つの弁があります。

右の2部屋(右心房・右心室)は全身から運ばれた二酸化炭素や老廃物で汚れた静脈血を肺に送り出すポンプ。

左の2部屋(左心房・左心室)は肺でガス交換された新鮮で酸素をたっぷり含んだ動脈血を受け取り全身に送り出すポンプ。 

この左右のポンプが合体して、1回の収縮で肺と全身に同時に血液を送り、拡張時には肺と全身から血液を受け取る仕組みになっています。



全身を流れる血液量は、50kgの成人女性の場合で約3.5㍑、60kgの成人男性の場合で約5㍑。心臓はこの大量の血液を、血管を通じて体中に循環させているわけですが、その距離は毛細血管だけで全長9万9000km、動脈と静脈を合わせると約10万km、地球2周半にも及ぶ道のりです。


そんな途方もない長さの細い管に、日々大量の血液を送り、たった20~60秒ほどで全身を循環させているのです。


心臓が1回拍動するとき押し出す血液量(心拍出量)は70~100ml で、安静時の心拍数は1分間に60~80回 ほど。1日あたりでは約9万~12万回 も拍動を繰り返し、約6~12t もの血液を送り出しています。


冠動脈が生命線


そんなとてつもない働きをし続ける心臓は「心筋」という筋肉でできていて、加齢とともにそれなりに衰えはするものの、体内での不調がなければ、100歳を超えても拍出力を維持できるだけのポテンシャルをもっているすごい臓器です。


この心筋に酸素や栄養を送っているのは、心臓の中を流れている血液ではなく、心臓の外側を走っている冠動脈から送られる血液です。いわば、冠動脈は、心臓の生命線。


加齢や生活習慣によって冠動脈の動脈硬化が進み、心臓への血液が滞り心筋が酸素や栄養不足になる「虚血性心疾患」に陥ると、一気に突然死のリスクが高まります。




心筋細胞は増えない!


筋肉は細胞分裂をしないので、心筋細胞は増えませんが、細胞が異常増殖することもないので、心臓ガンというのはほとんど存在しません。 健康な状態であれば、心筋細胞は130年ぐらいはもつといわれています。


ただ、加齢ともに、毛細血管の量が減ると、心臓に行く血液も減ってきて、酸素や栄養が不足し、脱落していく心筋細胞が出てくるので、心筋細胞の数は少しずつ減っていきます。


それを補うために、残りの心筋細胞が大きくなって、心筋への圧を軽減させようと頑張るため、心臓は若干拡大し、心臓の壁が厚くなり、心房や心室が少しずつ大きくなる傾向にあります。・・・いわゆる「心肥大」です。


はたらきが悪くなった心臓を自らリモデリングするわけですが、だんだんと対応しきれなくなり、心筋は徐々に柔軟さを失い硬くなり、血液を循環させる心臓のポンプ機能も低下していきます。



2.よく耳にする 心臓病について


●虚血性心疾患


虚血性心疾患とは、狭心症や心筋梗塞の総称のことで、突然死のトップです。


心臓に栄養を送っている生命線である冠動脈の内腔が狭くなり、血流が一時的に途絶え、心筋が酸素不足で悲鳴を上げている状態が狭心症。 胸に強烈な痛みが発生するのが特徴ですが、たいていは数分以内にすっと治まります。


さらに進んで冠動脈に血栓(血のかたまり)がつまり、心臓への血流が途絶えて心筋の一部が壊死するのが心筋梗塞です。狭心症の痛みよりも強烈で失神することも珍しくなく、たいていの場合は、10~20分以上も続きます。 まれに無痛性の心筋梗塞もあります。


虚血性心疾患の原因となるのは、冠動脈の動脈硬化。 動脈硬化のおもな原因としては、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満、喫煙などで、生活習慣に密接に関係しています。 



●冠動脈の動脈硬化


50代くらいからじわじわと増えてくるのが、冠動脈の動脈硬化。特に、女性の閉経後は、抗動脈硬化力が高い女性ホルモンが激減し、虚血性心疾患のリスクがより高まるので注意が必要です。


冠動脈の動脈硬化とは、冠動脈の内側にある内皮細胞の隙間に脂肪物質が入り込み、粥状になって蓄積(プラーク)し、しだいに冠動脈の内腔が狭くなり、70~80%ほど血管が詰まると狭心症に陥りやすくなります。さらに、進行するとプラークが破れて血栓ができ、血管が90%以上つまっていまうと、その先の細胞が壊死して心筋梗塞を起こします。


ただ、血流は突然止まることがないので、本人の意識がない頃から少しずつ「そういえば、1ヶ月ほど前から違和感があった…」という程度で進行していきます。 それは、喉や肩、腕の痛み、胃の不快感など、一見、心臓とは関係のなさそうな症状ですが、実は動脈硬化が進行したときに見られる症状なのです。




動脈硬化 チェックリスト

  • 胸が痛い
  • 炎症ではなく喉に痛みがある
  • 肩、背中、腕に痛みがある
  • 息切れがする
  • 動機がする
  • 冷や汗が出る
  • 全身の倦怠感
  • 手足のむくみ
  • 胃の不快感、みぞおちあたりのむかつき


3.不整脈 についてのQ&A


Q: どうして不整脈が起きるの?

A:不整脈は血管がつまるから起きると思って入る人が少なくないですが、それは間違い。不整脈は心筋梗塞や狭心症のような心臓の血管の病気ではなく、電気系統の故障によるものです。


筋肉には電気を通すと収縮する性質があります。心臓が拍動するのは、心筋にかすかな電気が流れて興奮し、動く仕組みになっているから。 不整脈は心臓に流れる電気の異常や刺激がうまく伝わらないという状態なのです。 伝導路に異常がある場合は、電流で焼き切るカテーテル治療があります。


Q: そもそも不整脈ってなに?

A: 人間の心臓は規則的な収縮を行い、血液を全身に送り出しています。健康な人の心拍数(1分間に心臓が拍動する回数)は、60~80回くらいが平均的で一定のリズムを刻んでいます。


不整脈とは、規則正しく整っていないすべての脈の総称のこと。命にかかわる危険な不整脈もありますが、90%以上のほとんどは加齢による生理的なもので心配ありません。



おもな不整脈は3タイプ


1.一瞬脈が飛ぶ「期外収縮」
  最も多い不整脈で、心臓を動かす電気信号が本来とは違う場所から早めに出るため、脈が乱れます。一瞬動悸がして胸に少し痛みを感じる人もいますが、すぐに治まるのが特徴。自覚のない人も多く、基本的に命の危険はありません。


2.1分間に100回超える「頻脈」
  運動や緊張とは関係なく、異常に脈が速くなります。心臓を動かす電気の通り道に異常が生じ電気信号が空回りしたり、異常に速く電気が作られていると考えられます。発作的ですぐに治まればあまり心配はありませんが、30秒以上続く場合は、激しい動悸や強いめまいを感じ、意識を失うことも。


3.1分間に60回以下の「徐脈」
  リズムが遅くなったり、一時的に止まったりします。心臓を動かす電気が途中で途切れたり、作られなくなっていると考えられます。息切れやだるさがあり、脳貧血からめまいや失神と起こすことも。甲状腺機能低下症が隠れていることもあります。



Q: 命にかかわる怖い不整脈はどれ?

A: 上表の2.「頻脈」と3.「徐脈」は要注意。1分間に130拍以上の極端な頻脈や、逆に40拍以下の極端な徐脈が長時間続くと心筋に負荷がかかりすぎて適正な収縮を保てず心不全を引き起こします。


最近増えている「心房細動」は心房がけいれんしたように細かく震え、血液をうまく送り出せなくなる不整脈のこと。動悸や胸の不快感などがありますが、症状が数分で終われば問題ありませんが、発作が長く続くと心房内に血栓ができ、それが脳に流れて脳梗塞を起こす危険があり、対策が必要です。 


最も致死率の高い不整脈は「心室細動」です。心室に非常に速くて不規則な電気的刺激が無数に発生して旋回し、心室が細かくけいれんします。心臓から血液が送り出されなくなるため、5~6秒で意識を失い、数分で死にいたります。これらの不整脈が起きたときは、まわりにいる人がすぐに救急車を呼ぶとともに、AED(自動体外式除細動器)などによる緊急処置が必要になります。


Q: 不整脈は治療しなくていいの?

A: 以前は、不整脈を完全になくし、正常なリズムに戻すほうがよいと考えられていましたが、欧米の大規模研究の結果、軽症の不整脈を薬で治療することで、予後が悪くなる可能性が指摘されました。 


現在は、病的な不整脈でなく症状も軽ければ、生活習慣の改善などの指導で、積極的な薬物治療は行わないのが一般的です。ただし、動悸が止まらないという場合は、早めに心電図チェックを受けましょう。


不整脈に胸の痛み、喉・肩・背中・腕の痛み、胃の不快感、冷や汗が出るといった症状が伴っている場合は、虚血性心疾患の予兆が考えられるので、早めに検査を受けましょう。


Q: 脈を整えて、健やかな心臓になるにはどうしたらいい?

A: 心臓のリズムをコントロールしているのは自律神経です。緊張したり興奮したりすると脈が速くなるのは、交感神経が心臓の拍動を速め、血液を大量に送り出すため。


ストレスフルな現代人は、つねに交感神経優位に傾きがちなうえに、加齢により自律神経自体のトータルパワーも低下しやすくなっているので、自律神経ケアを心がけることが、脈を整え、心臓をケアすることにつながります。






田和璃佳<日本美腸メソッズ協会代表>

田和璃佳<日本美腸メソッズ協会代表>

美腸カウンセラー®/美腸をつくるたった2つの習慣で、免疫力up・美肌get・ヤセ菌増やして痩せやすい体を手に入れるoriginal『美腸Methods®』を全国に展開。 【藤田絋一郎先生(東京医科歯科大学名誉教授)監修】
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