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【多発性硬化症】やっぱりさまざまな病気の原因は腸内フローラの崩壊にあり

「多発性硬化症」という病気はご存知でしょうか?欧米に比べて日本ではまだ患者数は少ないですが、増えてきている自己免疫疾患です。食生活の欧米化とともに、日本人に増えていることは、やはり腸内環境も大きく関わってきていますね。最新の研究論文をもとにまとめてみました。


1.多発性硬化症とは


多発性硬化症は中枢神経系(脳・脊髄、視神経)の病気です。

免疫細胞が中枢神経(脳・脊髄)や視神経に炎症を起こして、神経組織を障害する自己免疫疾患です。自己免疫疾患とは、本来、外敵から自分を守るための免疫系に異常が起き、自分の体の一部を外敵と見なして攻撃してしまうことによっておこる病気です。


中枢神経は神経細胞体から出る電線のような軸索を通して電気信号を伝え、暑さ・寒さの感覚や身体を動かす指令などを送っています。


電線がショートを防ぐためにビニールのカバー(絶縁体)で覆われているように、中枢神経もミエリン[髄鞘(ずいしょう)]というもので覆われています。


多発性硬化症では炎症によってミエリンが壊れ、中の電線がむき出しになって(これを脱髄:だつずいといいます)、信号が伝わりにくくなったり、あるいは異常な信号を伝えたりすることがあります。その結果、視力障害、運動障害、感覚障害、認知症、排尿障害などさまざまな神経症状があらわれるのです。



炎症をともなう脱髄病巣は脳や脊髄のあちこちに繰り返し起こります。脱髄が多発し、炎症がおさまった後に傷あとが硬くなるので、「多発性硬化症」の名があります。英語のmultiple(多発性) sclerosis(硬化症)の頭文字をとって、MSとも呼びます。


この病気のやっかいなところは、炎症が体の広範囲にわたって広がることと、何度も症状の寛解と再発を繰り返すところです。


2.MSの主な症状と経過


多発性硬化症でみられる症状は、脱髄が起こる部位によって異なるため、さまざまです。


症状

●感覚障害

触った感触や温度の感覚が鈍くなる、逆に過敏になる。痛みやしびれ感など、異常な感覚が生じる。

●運動障害

手足に力が入りにくい。体の片側が動きにくい。ふらついて歩きにくい。

●目の障害

霧がかかったようになり見えにくい。視力が急に低下する。視野が狭くなる。ものが二重に見える。

●排尿障害

尿の回数が頻回になる。間に合わず失禁する。尿が出にくい。残尿感。

●認知・精神障害

理解力の低下やもの忘れがある。気分が高揚する。うつ状態になる。


経過


経過によって「再発寛解型」「二次性進行型」に分類されます。「再発」とは、神経症状が悪化して24時間以上持続し、かつ、前回の発作との間には1ヶ月以上の安定期があることと定義されます。「進行」とは、再発とは別に1年以上にわたって神経症状がゆっくり悪くなることです。

●再発寛解型(RPMS)

急に症状が出ては治るを繰り返す。再発を繰り返すたびに後遺症を残すようになる。約8割の患者が再発寛解型として発症・進行し、そのうちの約半数が15~20年の経過で二次性進行型に移行する。

●二次性進行型(SPMS)

当初は再発寛解型を示すが、その後は再発の有無にかかわらず、障害が持続性に進行する。

(その他に、最初から障害が持続性に進行する(一次性進行型)もあります。)



3.腸内細菌叢との関連結果


国立精神・神経医療研究センターおよび理化学研究所、早稲田大学などの共同研究グループが、メタゲノム解析で病型ごとの腸内細菌叢および腸内環境の変化を比較した結果をPNASに発表。


多発性硬化症になり、治療して再発した人の腸内フローラの異常は以前より確認報告されている。

今回の調査対象は、国立精神・神経医療研究センター病院に通院する再発寛解型MS患者62例(平均年齢39.0歳)、二次進行型MS患者15例(同43.3歳)、視神経や髄鞘に病変が集中する非典型MS患者21例(同42.3歳)、抗アクアポリン4抗体陽性を示す視神経脊髄炎患者20例(同43.1歳)。先行研究で16SリボソームRNA解析によって得られた健康日本人55例の腸内細菌叢のデータと比較。





腸内細菌叢の機能について解析すると、再発寛解型MS患者群では健康人と比べて短鎖脂肪酸であるプロピオン酸や酪酸の産生能力が低下していた(P<0.01)。二次進行型MS患者群では再発寛解型MS患者群よりも腸内細菌のミスマッチ修復機構の機能が亢進しており(P<0.05)、糞便を硫黄化合物メタボローム解析すると、酸化ストレスの程度を反映する硫黄化合物のポリスフィルド化が健常人より増加していた(P<0.05)


腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸であるプロピオン酸や酪酸には、炎症を抑えるT細胞の誘導や髄鞘の再生を促す作用があり、これら腸内細菌の減少が再発寛解型MSの病態悪化に関与する可能性があります。

また、二次進行型MS患者群の糞便には、酸化の指標であるシステインペルスルフィドとシステインの比率が大幅に増加し、過剰なDNA酸化がおきていることが判明。再発寛解型(RPMS)は、過度の酸化ストレスが原因であると推定されています。


つまり、腸内に過剰な酸化ストレスが見られ、それは神経の慢性炎症との関連が報告されていることから、腸内細菌のDNA損傷を引き起こし、DNAミスマッチ修復機構を亢進させると考えられます。  


Proceedings of the Nathiona academy of Sciences  of the Unite Of America


 

3.まとめ


多発性硬化症になる人は、短鎖脂肪酸であるプロピオン酸と酪酸の生成ができていないということが判明しており、それの原因は、腸内細菌が減少しているから、短鎖脂肪酸を産生できていないということになります。(炎症性T細胞を誘導できないということにもなりますけどね)


また、食生活の西洋化により、食物繊維の減少と高脂高糖食が増え、腸内環境が悪化していることで、炭水化物代謝ができなくなり、腸内発酵で水素が発生しなくなり、水素の枯渇が原因で、腸内で酸化ストレスが増大していることにもつながります。


多発性硬化症と同様に増加している炎症性腸疾患(IBD)の研究分野でも、疫学データにより、日本でのIBDの増加は、食物繊維の摂取量の減少に関連して、腸内での酪酸の生産低下が関連している、と報告されています。


つまりは。


(・・・いつも同じ言葉で申し訳ありません。)

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田和璃佳<日本美腸メソッズ協会代表>

田和璃佳<日本美腸メソッズ協会代表>

美腸カウンセラー®/美腸をつくるたった2つの習慣で、免疫力up・美肌get・ヤセ菌増やして痩せやすい体を手に入れるoriginal『美腸Methods®』を全国に展開。 【藤田絋一郎先生(東京医科歯科大学名誉教授)監修】
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