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無菌状態の赤ちゃんから腸内フローラが形成されるまでの過程をご紹介!

腸内フローラの形成には日和見菌の摂取がとても重要で、私たちの健康や人生に大きく貢献していることがわかってきました。 でも私たちは、母親の子宮内にいる胎児のときは無菌状態です。

では、一体、腸内細菌は、いつ、どのように腸内にすみつくようになるのでしょうか?




1.腸内細菌はママからの素敵なプレゼント


自然分娩であれば、赤ちゃんが母親の産道を通る際に、狭い膣に口や鼻をぴったりと押しつけますが、その際に赤ちゃんは母親の膣内に生息していた約1000億個以上の菌をそのまま引き継ぐといわれています。 

膣内の菌は肛門に近いこともあり、大腸に生息する菌とよく似ているのです。


女性の膣内には、デーデルライン桿菌という乳酸菌が棲んでいて、強力な酸性に保ってくれているおかげで、雑菌が膣内で繁殖できないようにしています。


そして、出産を迎えるための準備も、しっかりと行われています。


妊娠後半期になると、母親の膣の分泌液の成分が変化します。膣内では、乳酸菌数やビフィズス菌数が増えるため、代謝産物として乳酸などを多く生産し、酸性の環境にします。

したがって、母親の膣に病原菌が侵入してくるのを防ぐのと同時に、新生児を病原菌から守ってくれているのです。


このように、私たちは腸内細菌に守られながら体胎内で成長し、母親由来の有益な細菌を付与されて生まれてくることになります。これは、まさに母親からのはじめての贈り物といえます。


赤ちゃんに喜んでもらうためにも、よい腸内環境を引き継いであげたいものですからね。日常生活でもそうですが、妊婦さんにはぜひビデ(ウォシュレット)の使用禁止をおすすめします。

国立国際医療研究センター病院の産婦人科医である荻野満春氏は、温水洗浄便座と膣内環境の関連について行った調査(温水洗浄便座を使用する女性154人と未使用ならびに時々使う女性114人の膣内分泌物)によると、デーデルライン桿菌のいちじるしい減少や消失が確認できたのは、非使用者では約9%に対して、使用者では43%。常在菌の減少で雑菌が繁殖しやすくなっていることが証明された。

出典「腸内細菌が家出する日」藤田絋一郎著(三五館)


では、帝王切開の場合はどうでしょう? 


自然分娩で生まれた赤ちゃんと帝王切開で生まれた赤ちゃんの腸内細菌は、異なっています。帝王切開で生まれてきた赤ちゃんの場合、産道を通過しないので、最初に接触した人が持っていた菌がすみつくといわれています。


つまり、病院の医師や看護師などの手や指についていた皮膚常在菌(皮膚表面に存在する菌)などをもらうことになります。 その後、周りの環境から多くの菌を取り込み、腸内で生存競争に勝ち抜いてきた菌が時間をかけて腸内フローラを完成していきます。



2.離乳食がターニングポイント

腸内細菌の割合は、年齢によって変化します。この世に生を受けた直後から皮膚や消化管などの粘膜に細菌が増殖しはじめ、出生後3~4時間後には大腸菌などが腸内に現れます。


これは、出生後に母親の胎内から外の環境に出たことで、腸内の酸素量が一気に増えたために、大腸菌などの好気性菌が最初に腸内で繁殖します。


そして、これらの菌が呼吸により酸素を消費していくにつれて、腸内は次第に嫌気性の環境になり、生後約3日を過ぎたころから嫌気性菌であるビフィズス菌などの大増殖がはじまります。

ビフィズス菌が優位な状態は、離乳の時期まで続き、離乳食を開始すると徐々にビフィズス菌が減り、日和見菌などの割合が増えて腸内フローラは大人の構成へと変化していきます。



腸内フローラは生後約1年の間に決まる!?



また、腸内細菌叢の種類…つまり、自身の腸内フローラの細菌の種類は、生後約1年の間に決まります。腸内細菌の数は、その後の日常生活で増減します。


藤田絋一郎先生がいつも何度もおっしゃるのは、

『赤ちゃんがハイハイして、なんでも口に入れるのは、日和見菌(土壌菌)をたくさん入れようとしているんだから、なんでもすぐに、ばっちい・きたないといって取り上げたり・除菌に敏感になるのは逆効果ですよ。』


除菌・無菌好きな両親の環境下で育った子供にアトピーが多い、という説を裏付ける情報ですね。


なお、母乳で育った赤ちゃんの方が、悪玉菌の繁殖を抑えやすいことも知られています。

一つご注意いただきたいのですが… 母乳を与える前に乳首をアルコール消毒するのは、皮膚にも存在する貴重な常在菌を殺菌しているので、赤ちゃんには有用な菌のプレゼントをしていないことになりますので、あしからず。


3.老年期を迎えると悪玉菌が増加



腸内フローラは、百人百様で人によって菌の顔ぶれは異なりますが、老年期ころを迎えると、この腸内フローラが様変わりしてしまいます。


この時期になると、年とともに腸を支えていた筋肉量などが低下し、腸の蠕動運動が緩慢になって食べ物の残りかすが腸内に長くとどまりやすくなることもあり、善玉菌が減少し、悪玉菌が増加する傾向にあります。

 

つまり、加齢が原因で腸内フローラのバランスが悪くなり、有害な腐敗物質がたまりやすくなってしまうのです。


また、若い年齢層であっても暴飲暴食や強いストレスなどで腸内フローラのバランスを崩す生活をしていると、老年期にならずとも悪玉菌を優勢にしてしまいます。


1歳を過ぎて腸内細菌の種類は増やせませんが、数としては、その後の環境や生活習慣で増やすことも減らすことも可能ですので、いかに私たちの努力で、腸内細菌のすみやすい、いい腸内環境をつくり、腸内細菌の数を増やすかどうか…

それこそが、美と心身の健康と長寿を手に入れることができるかどうかの境界線となります。





まとめ

  • 赤ちゃんは無菌の状態で生まれてくるので、腸内フローラを与えてあげるのはママからの初めての素敵なプレゼント。 
  • 生後約1年で、腸内フローラの種類が決まるので、無菌除菌殺菌に過敏になることは逆効果。 
  • 赤ちゃんがハイハイしてなんでも口に入れようとするのは、日和見菌(土壌菌)を腸に入れようとしている証拠。
  • 老年期になると、腸を支えていた筋力の衰えから悪玉菌が増加する傾向にある。




田和璃佳<日本美腸メソッズ協会代表>

田和璃佳<日本美腸メソッズ協会代表>

美腸カウンセラー®/美腸をつくるたった2つの習慣で、免疫力up・美肌get・ヤセ菌増やして痩せやすい体を手に入れるoriginal『美腸Methods®』を全国に展開。 【藤田絋一郎先生(東京医科歯科大学名誉教授)監修】
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