肥満の原因はデブ菌?痩せ菌を増やすために菌の仕組みを理解しよう
同じエネルギー量を摂取していても太りやすい人、太りにくい人がいますよね?「自分も太りにくい体質に生まれたかった!(>_<)」と、親の遺伝子のせいにしたことも一度や二度はあるハズかと思いますが、近年、肥満と腸内細菌の関係が明らかにされつつあり、注目が集まっています。そのコンテンツをご紹介します。
1.デブ菌とヤセ菌とは?
腸内細菌種の分類方法
地球上には、現在のところおよそ80門に及ぶ細菌種が発見されています。
「門」とは生物の分類階級の一つであり、「ドメイン→界→門→綱→目→科→属→種」と分けられます。
この分類は、住所のように〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地〇〇号と細分化していくのに似ています。
「門」は大まかな細菌の種類を包括したときの分類名なので、「門」は都道府県名、「菌」は番地、「株」は号と同じといえます。
腸に住む細菌は、約80門あるうちのわずか4門のみです。
腸内細菌種を「門」で分類すると、約80門あるうちのわずか4門で90%以上を占めています。
その4門の名称は
- バクテロイデス門
- フィルミクテス門
- アクチノバクテリア門
- プロテオバクテリア門
です。
カタカナばかりで覚えにくいですが、腸内細菌の3種類の菌名で分類すると
- バクテロイデス門とフィルミクテス門・・・日和見菌
- アクチノバクテリア門・・・善玉菌(発酵菌)
- プロテオバクテリア門・・・悪玉菌(腐敗菌)
成人の腸内細菌の多くは、日和見菌(バクテロイデス門とフィルミクテス門)であるといいました。つまり、この2つの門が肥満と大きく関係しています。
デブ菌☆ヤセ菌
では、バクテロイデス門とフィルミクテス門は、肥満とどのように関係しているのでしょうか?
2006年ワシントン大学の生物学者ジェフリー・ゴードン教授のマウス実験が有名ですね。太ったマウスの腸内細菌を痩せたマウスに移植させたところ同じエサの量にもかかわらず、太ったことが証明されました。
このことから。
バクテロイデス門は、食べ物を分解して栄養やエネルギーに変える働きが強い細菌群なので、俗称『ヤセ菌』といわれ、糖質や食物繊維を分解してつくりだされた短鎖脂肪酸は、脂肪細胞に働きかけて余分な蓄積を抑え、筋肉に作用し脂肪を燃やす働きがあります。
それに対して。
フィルミクテス門は、糖類を代謝する遺伝子の多い菌種で消化されたものを体内にためこんでしまう細菌群なので、俗称『デブ菌』と呼ばれており、わずかな食べ物からも大量のエネルギーをつくり出す体になり、吸収されなかったものや必要のない分までも吸収して、脂肪として蓄えようとするために太りやすい体になります。
つまり。
太っている人の腸内細菌は、デブ菌が多く、ヤセ菌が少ない
痩せている人の腸内細菌は、デブ菌が少なく、ヤセ菌が多い
傾向にあることがわかっています。
このことから、体形はエネルギー摂取の問題ではなく、腸内フローラの違いにある、とゴードン教授は結論づけています。
ちなみに。
デブ菌とヤセ菌の理想的な比率は、デブ菌:ヤセ菌=4:6
この比率が逆転すると同じ食事量でも肥満になりやすい傾向にあるということです。
デブ菌を減らすには、まず、腸内環境の中でも日和見菌の数を増やし、日和見菌を善玉菌に加勢させ、善玉菌優位の腸内環境にすることが必要。
食事制限・食べ物の選択はその次になります。
2.活性酸素の除去までも!?
あまり知られていませんが、女性にとってはとても魅力的な情報がわかってきました(*'▽')
腸内細菌が免疫機能を高めるということはよく知られている事実ですが…
さらに!
バクテロイデス門の細菌群は、腸内で発酵すると大量の水素(腸内発酵による水素)を発生させ、体内における活性酸素の有害を消すことがわかってきました。
1gの糖質が腸内で発酵すると、約200mlの炭酸ガスと50mlの水素ガスを生成します。つまり、腸内細菌の、特に、日和見菌の数や種類が多いと、水素の発生量も増え、体内で発生した大量の活性酸素を無毒できます。 活性酸素を除去するということは、錆びないカラダづくりですから、最高のインナーケアですよね。
3.腸活で短鎖脂肪やビタミンも合成!?
私たちは毎日食事から栄養素を摂取しています。体内の消化酵素で分解できなかったものは便として排出されますが、腸内細菌は、大腸において消化されにくい食物繊維やオリゴ糖をエサとします。
デンプンや食物繊維・オリゴ糖などの有機物を分解して腸内で発酵する際には、短鎖脂肪酸(酢酸・酪酸・プロピオン酸などの炭素の数が6個以下の脂肪酸)などの代謝物を産生します。
これらの代謝産物は、大腸の上皮細胞のエネルギー源になり、大腸の働きを高めるほか、一部は吸収されて血液で全身に運ばれます。
また、私たちは体内でビタミンを合成することができないため、食べ物から摂取して体の機能を正常に維持する必要がありますが、なんと腸内細菌は、ビタミンB2、B6、B12、K、パントテン酸、葉酸、ビオチンなどを合成する能力をもっています。
つまり、藤田絋一郎先生(東京医科歯科大学名誉教授)もおっしゃられてますが、
「腸内細菌とはもう一人の自分」であり、まさに人生のパートナー・共生関係であることを認識することが重要です。
まとめ
- 腸内細菌は約80門あるうちのわずか4門で90%以上を占有している。
- その4門とは、バクテロイデス門、フィルミクテス門(日和見菌)・アクチノバクテリア門(善玉菌)・プロテオバクテリア門(悪玉菌)である。
- 体形はエネルギー摂取の問題ではなく、自身の腸内細菌の菌種(デブ菌・ヤセ菌)によるものであり、デブ菌・ヤセ菌の理想的な比率は4:6である。
- 腸内細菌の働きが証明されつつある中、活性酸素の除去・短鎖脂肪酸やビタミンの合成までも該当。