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実は男性よりも女性に多い!肺がんの中でも急増中の【肺腺がん】について

2014年に新規患者数が多かったがんの順位として、男性は、2位:肺がん(約8万人)女性は、4位:肺がん(約4万人)。女性やタバコを吸わない人にも多く罹患がみられる「肺腺がん」は、最も発生頻度の高いがんで、肺がん全体のおよそ半数が肺腺がんであるといわれています。 唯一のガス交換の要所である「肺」についてまとめてみました。



1.生命活動の要“ガス交換”を行うのは…肺


肺は呼吸にかかわる最も重要な臓器です。左右1対で、右肺は3つ、左肺は2つのパートからなり、重量は右肺が約600gで、左肺は約500g。容量は右肺が約1,200mlで、左肺は約1,000ml。総重量約1kg、容量約2ℓの大型臓器ですが、その仕組みは実に精巧。


肺の内部には、「肺胞」と呼ばれる小さな袋が約3億個もあり、直径0.1mmほどしかない肺胞の表面には、肺動脈や肺静脈につなながる毛細血管が網の目のように覆っています。 この毛細血管こそが、肺における酸素と二酸化炭素のガス交換の舞台となります。


肺胞は袋状になることで、空気と血液が接する表面積を大きくし、呼吸率を上げています。肺胞をすべて広げると約70㎡、テニスコート片面に近い広さといわれています。 おかげで肺は、臓器の中でも最大級の容積を誇っているのです。


ところが、加齢とともに、肺胞をとりまく毛細血管も徐々に減っていきます。すると肺胞の壁の弾力が失われ、肺胞の袋同士がくっついて表面積が少なくなっていきます。 


肺に病変や炎症が起きると、毛細血管の劣化がさらに進み、呼吸の効率が落ちて息切れや呼吸困難が現れます。肺は非常に丈夫な臓器で、6割を切除しても機能を果たせるほどのキャパは備えていますが、いったん壊れてしまった組織は再生することはなく、ダメージが進めば命の危険を招くこともあります。


2.肺腺がんとは


肺胞では白血球の一種である「肺胞マクロファージ」が有害物質を感知して除去し、肺胞の機能を守っています。肺胞マクロファージは有害なごみばかり食べているから、真っ黒。


実は、肺胞マクロファージが有害物質を取り除くとき、活性酸素が発生します。吸い込む有害物質が多いと、活性酸素が大量発生して、正常な細胞まで傷つけてしまいます。 その結果、肺胞の細胞にがんが発生するリスクが高くなります


有害物質の筆頭はタバコですが、喫煙により体内で活性酸素が作られますが、タバコそのものにも、活性酸素が含まれているので、ダブルパンチで毛細血管を酸化させることになります。

喫煙による肺がん発症リスクは、非喫煙者と比べて男性で4~5倍、女性で3倍程度高いとされています。


肺腺がんは遺伝とは関係ないといわれています。 肺腺がんとは、肺の奥の粘液などを分泌する細胞にできるがんで、喫煙の影響はあるもののそれほど大きくはないといわれていて、どちらかといえば、女性や非喫煙者が多く罹患するといわれています。


考えられる原因としては、肺腺がんの発症にエストロゲンがかかわっているという研究が発表されています。 月経の期間が長い女性や、エストロゲン補充療法を受けたことのある女性に、肺腺がんの発症率が高いこともわかってきています。


HRT(ホルモン補充療法)もナチュラルホルモン補充療法も、リスクは同じで、乳がんのみならず肺腺がんのリスクも高めてしまうので、あまりおすすめできません。どうしてもホルモン療法をしたい方は専門医とじっくり相談をされた上で、期間限定でされた方がいいかと思います。


肺がんの4つのタイプ

組織型
特長
発生しやすい部位
腺がん
●女性や非喫煙者に多い
●肺がん全体の半数程度
肺の奥(肺野部)
扁平上皮がん
●タバコとの関連が強い
●肺がん全体の25~30%
肺の入口近く(肺門部)
大細胞がん
●大きな細胞からなる
●肺がん全体のうち数%
肺の奥(肺野部)
小細胞がん
●他の組織型の肺がんに比べて細胞が小さい
●発育成長が早く、移転しやすい
●肺がん全体の10~15%
肺の入口近く(肺門部)




3.肺を脅かすタバコ病【COPD】


COPDチェック

□ 同世代の人と歩くと自分だけ遅れる
□ 階段や坂道を上るとひごく息切れがする
□ 冬になると朝方に咳・痰がでる
□ 風邪でもないのに痰がからむ
□ 前かがみになると動悸や息切れがする
□ 呼吸をするとゼイゼイ・ヒューヒュー音がする
□ 20年以上、タバコを吸っている、またはかつて吸っていた



近年、日本人の死亡原因のトップ10にランクインしているCOPD(慢性閉塞性肺疾患)

タバコの煙や大気汚染、粉塵など有害な空気を長期間吸い込むことで気管支や肺に炎症が起こり、組織が壊れてしまう病気です。 慢性気管支炎や肺気腫を伴うことが多く、息を吸ってもうまく吐き出すことができず、呼吸困難に陥ります。10~15年かけて徐々に症状が増していき、末期になると酸素吸入しても溺れているような苦しさが継続します。


患者の9割以上が喫煙者のため「タバコ病」とも呼ばれます。 男性のほうが喫煙者は多いため、女性より男性患者が2~3倍以上多いのですが、受動喫煙の機会が増えると、COPDや肺がんのリスクが高まることが明らかになっています。電子タバコなどの新型タバコなら安全と思われがちですが、程度の差はあれ、発がん性や受動喫煙のリスクはあります。


●肺がダメージを受けると…


有害物質にさらされ続けた肺は、気管支に炎症が起きて内腔が狭くなったり空気が出にくくなったり(慢性気管支炎)、肺胞の壁が破れて肺胞同士がくっついてふくらんだり(肺気腫)、結果、毛細血管が壊れてガス交換が困難になります。


傷ついた肺は、禁煙しても回復させることはできません。 それでも肺へのダメージを減らし、肺機能低下のスピードを緩やかにすることができます。 自分のためにもまわりの人のためにも、一日も早い禁煙をおすすめします。 


最近、人間ドックなどで「肺年齢」の検査として行われている「呼吸機能検査(スパイロメトリー)」は、COPDの早期発見に役立ちます。 肺にある空気をどれだけ多く、長く吐き出せるかを調べる簡単な検査で、10分ほどで終了します。 上記のCOPDチェックで該当が多い人は一度この検査を受けた方がいいでしょう。









田和璃佳<日本美腸メソッズ協会代表>

田和璃佳<日本美腸メソッズ協会代表>

美腸カウンセラー®/美腸をつくるたった2つの習慣で、免疫力up・美肌get・ヤセ菌増やして痩せやすい体を手に入れるoriginal『美腸Methods®』を全国に展開。 【藤田絋一郎先生(東京医科歯科大学名誉教授)監修】
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