
不都合の原因を外に求めない!【積徳のススメ】徳を積まなかった結果…
「積徳:徳を積む」という言葉は最近はあまり聞かれないかもしれません。おばあちゃんの話か、お坊さんの説教のように聞こえるでしょうか? でも、この数字を見たら、長いお話は不要でリアルにわかるかもしれません。
1.アメリカの家系調査報告に残る記録から
ジュークは1720年NY州に生まれた。怠惰な無頼漢であった。
1877年の調査では、彼の家系は6代を経る中で約1200人の怠け者、背徳漢、漁色、貧窮、病弱、知的障害、精神病者、犯罪者が生まれた。この間、300人が嬰児期に死亡、440人が病的な行為で肉体的に破滅、前科者は130人で、60人が窃盗、7人が殺人。手に職をつけたのはわずか20人だった。
一方、ジュークと同年代に生まれたJ.エドワードは代表的な清教徒で神学者だった。
1900年に彼の家系は1394人を数えた。そのうち3人が大学総長、65人が大学教授および学校長、100人以上が牧師や神学者、75人が陸海軍将校、法律家は100人以上、公職についた80人の中には副大統領が1人、上院議員が3人、ほかに知事、下院議員、市長、公使などがいる。それ以外に、15の鉄道、多数の銀行、保険会社、産業会社などがこの家系の人々によって運営されていた。
この数字を見て、これは人種差別や階級制度がもたらした結果じゃないのか!と、口角泡を飛ばす人がいるかもしれません。もしくは、ねつ造だ!とか、根拠が不明だ!と罵倒する人もいるかもしれません。
私は、この記事を読んだとき背筋が寒くなったことを覚えています。正直、数字や職業云々のことを注視するつもりはなくて、この記録が訴える行間の真意がきちんと伝わればいいと思っています。
それは、つまり。
●一人の人間の徳の有無がいかに大きな影響を及ぼすか
●人徳を積み上げることがどれだけ重要であり、そのことをいかに自身の肝に銘じることができるか
この二点だと思っています。
よく、徳を積むとは、善行を行うと言われています。陰徳ともいわれ、人知れず善い行いをするということで、天に幸せの貯金をするとも言われています。 その幸せの貯金を狙って、あえてトイレ掃除をするなどということも聞きます。 そういう行動も大切ではありますが、一番おろそかにしてはいけないのは、陰徳の本当の意味をしっかり理解して心に刻むことはないでしょうか?
昔から日本では、天に積んだ陰徳の貯金が使えるのは、三代先の子孫ともいわれています。幸せの貯金は、自分が使うためではなく自分の子孫のために。
つまり、善行を積んだご先祖様をもつ家系はやはり繁栄するし、悪行をはたらいたご先祖様の家系は、なかなかうまくいかないともいわれています。
…あら。海を越えた上記のアメリカ家系調査の結果と同じですね。
2.とある方の新聞投書記事から
自分の両親は朝から晩まで一所懸命に働いたが、暮らしは貧窮のどん底だった。
自分は子どもの頃、両親がこんなに働いても貧しいのは、きっと世の中、つまり社会の仕組みが悪いからだ、と思っていた。
やがて、自分は親元を離れ、結婚して家庭を持ち、子どもも生まれた。
自分は毎年、両親への御歳暮と御中元を欠かさなかった。しかし、口頭でも手紙でも、両親から一度もお礼の返事をもらったことはない。
そして、いま、自分は思う。
両親があんなに働いても貧乏から逃れられなかったのは、決して世の中が悪いのではなく、両親が人間的に未成熟だったからだと。
人生山あり、谷ありで、いつもいい風が吹いているわけではありません。
たとえ、不都合なことに見舞われたとしても、その原因を外に求めたり、他者を咎めたりするようなことなく、まずは自分の足元をしっかりと見つめて、至らなさを反省し、一層精進を重ねていく…そんな姿勢でいると、自然と感謝心がわき起こってくるように思います。
君子は易(やす)きに居りて以て(もって)命を俟ち(まち)
小人は険を行いて以て幸いをもとむ
出典:中国儒教「中庸」
君子とは、立派な人物。 易きに居りとは、人間にはちゃんと踏み行うべきルールというものがあるということ。 命を俟ちとは、天命を待つ、天に任せるということ。
小人(つまらない人物)はそのルールを踏み外し、わざわざ危険な道を通ってそこから幸を求める。それによって一時は上手くいっても、思いがけない落とし穴に落ちてしまう、ということ。
つまり、立派な人物は、いかなる場合でも自分のやるべきことを道に適うようにまっしぐらにやっていく、そうすれば、天命が下ってくるということを意味します。
世間でもてはやされていた人が、一瞬にしてその地位や富を失ってしまうことはよくあります。 これぐらいは…と軽く考えて、欲を出して行ったことが、たまたま上手くいったとしても、それが度重なれば、いずれ露見してしまう。
人からの信用を積み上げるのは、至難の業ですが、失うのは一瞬。とても簡単です。
人知れずコツコツと自分の道で善行を積み重ねて、幸せの貯金を積んでいくような姿勢で、毎日を有意義に過ごしていきたいですね。