
にんげんだもので有名な|いのちの詩人≪相田みつを≫に秘められた本音
今では誰もが知る、書家でいのちの詩人といわれる 相田みつを(1924-1991)さん。
初出版が60歳で、有名になられたのが没後であられるので、短い人生の中で、苦悩を心の内に深く深く留めて、真剣勝負でかかれた書にいまでは老若男女が心を揺さぶられます。
たくさんの素晴らしい詩書がありますが、そのうちの二つをご紹介したいと思います。
相田みつを美術館館長でいらっしゃる息子様 相田一人さんからのエピソードを添えて。
相田みつをが一番大事にしていたもの
「…父(相田みつを)には『一番大事なものに 一番大事ないのちをかける』という作品がありますが
優先順位がとてもハッキリしていた父にとっての一番大事なものは
家族ではなく(笑) …書を書くことが一番(大事)でした。
ですからお金には本当に苦労していましたが、紙や墨などの道具類は常に自分の納得のいく最高のものを使っていました。
自分はプロの書家だから、だと。プロというのはアマチュアとは絶対差があるべきだ、とよく言ってました。
父は練習用の紙を使いませんでした。練習用の紙や安い紙だとどうしてもぬるい意識が出てしまう。一枚一枚が真剣勝負の本番だったのです。
そういう厳しい姿勢で書に臨んでいたのは、文字にはその人のすべてが出ると考えていたからだと思います。見る人が見ればそれが分かるから怖い、と。
道
長い人生にはなあ
どんなに避けようとしても
どうしても通らなければ
ならぬ道 というものがあるんだな
そんなときはその道を
黙って歩くことだな
愚痴や弱音を吐かないでな
黙って歩くんだよ
ただ黙って
涙なんか見せちゃダメだぜ
そしてなあ その時なんだよ
人間としての
いのちの根が
ふかくなるのは
みつを
ぐち
ぐちをこぼしたって
いいがな
弱音を吐いたって
いいがな
人間だもの
たまには涙を
みせたって
いいがな
みつを
この「道」と「ぐち」では、正反対の内容の詩が書かれてあります。
これは、
長い人生では、どうしても険しい道を通らなければならない時があって、そういう時は愚痴や弱音を吐いている余裕などないけれど、でも、あまりそうやって頑張ってばかりではノイローゼやうつ病になってしまう。
愚痴をこぼしたり弱音を吐いたりしないとやっていけない時がある…その両方があるのが人生なんじゃないか、と父(相田みつを)は考えたのだと思います。」
私も相田みつをさんの詩が大好きですが、息子さんのエピソードを読んだ時にさらに深く心に響くようになりました。
そうですよね。
愚痴や泣き言をいわず、厳しく自分を律することは大事なんですが、やっぱり、それだけだと、最後は風船のように割れてしまうんですよね。
一瞬矛盾しているかのように見えますが、でも、実際には、
命をかけて真剣勝負をする時と、「しんどいよーーー」と弱音を言う時の間を、いったりきたりして、バランスをとって生きるのが人間なんだと思います。
…だって。『 にんげんだもの 』
絵画や音楽からとても素晴らしい波動を受けて、ココロが落ち着くということがありますよね。 相田みつをさんの素晴らしいところは、絵画のような文字に込められた彼の魂の波動と、実際にその言葉のもつ意味そのものからも、波動がうけれるということでしょうね。
ココロの波動をニュートラルにしたいとき、一人訪ねてみるものいいですね。
相田みつを美術館 http://www.mitsuo.co.jp/museum/index.html
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-5-1 東京国際フォーラム地下1階