catch-img

腸の難病が増えている!クローン病と潰瘍性大腸炎に悩み共に生きる姿に共感

潰瘍性大腸炎とクローン病の治療について、北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター長の日比紀文氏さんへのQ&Aです。



Q:病気の特長を詳しく教えてください。

A:どちらも腸に炎症が起き、粘膜がただれます。潰瘍性大腸炎は大腸にのみ。クローン病は小腸、大腸、肛門など消化管ならどこにでも生じます。下痢や腹痛、血便などの症状はほぼ同じですが、クローン病は腸管に穴が開いて、他の臓器とつながったり、肛門付近に痔瘻(じろう)ができたりすることがあります。


Q:どんな人がなりやすいですか?

A:原因は不明ですが、免疫異常が関係していると言われています。患者は両方合わせて25万人を超えるとみられます。クローン病は20歳代が最も多く、男性が女性の約2倍です。国内に約4万人の患者がいます。潰瘍性大腸炎も若い人が多いですが、比較的幅広い年代で発症しています。


Q:治療法は?

A:根本治療はなく、薬などで炎症を消す『寛解導入療法』と、再び炎症が起きる『再燃』を防ぐための『寛解維持療法』が原則です。 薬が効かなかったり、腸に穴が開いたりするなど重症の時は、手術をして大腸や小腸を切除します。


Q:手術で治りますか?

A:クローン病では、残った腸に再び炎症が起きることがあり、症状が治まっても薬で治療を続けます。潰瘍性大腸炎は、大腸を全部取ると炎症がなくなり、薬はいらなくなります。ただ、ストーマ(人工肛門)を造らず、小腸を袋状にして肛門につないで排便機能を残す場合、その袋の部分に炎症が起きることがあります。


Q:効果が高い生物学的製剤もあるそうですが?

A:異常な免疫反応を抑える作用があり、以前からリウマチなどの治療薬としても使われています。クローン病は患者の3人に2人程度、潰瘍性大腸炎も約半数に効果があり、重い副作用はほとんど起こりません。現在は、薬物治療の最終手段とされていますが、早期に使って症状を抑え、他の薬などで維持するという考え方も出ています。


Q:高齢化の影響は?

A:潰瘍性大腸炎は、60歳以上の発症数が最近10年ほどで約2倍に増えました。若い人の病気と思われ、発見が遅れがちです。糖尿病やがんなどの病気も抱える高齢者の治療は、他の病気に悪影響を及ぼさないように注意するなど、慎重に進める必要があります。


Q:患者になったらどんな注意が必要ですか?

A:症状が治まれば、食事制限も特になく、通常の生活を送れます。妊娠や出産もできます。必要以上に心配することはありません。ただ、良くなったと思っても自己判断で薬をやめないでください。再燃してまれに重症化することがあります。大腸がんのリスクも通常より高いので少なくとも2年に1回程度は大腸内視鏡検査をしてください。




35歳女性

高校2年生の時にクローン病と診断を受け治療開始。症状が重く、腸に穴が開いたり、消化物が詰まりやすくなったりして、腸を切るなどの手術を4回受けた。大腸は消滅し、ストーム(人工肛門)に。免疫調節薬と併用していた生物学的製剤の量を増やすと症状がおさまるも、クローン病の合併症とされる腎臓の病気が判明。腎臓病の治療終了後に、不妊治療をはじめて妊娠・出産。

18歳男性

小学2年生の時にクローン病と診断。大腸に炎症が生じ、下痢や腹痛に苦しむ。ステロイドの内服で症状が治まったが、骨の成長を抑える副作用を警戒して免疫調節薬に切り替えてからは病気の症状も出なくなり、気が緩んで薬を飲まなくなった。ある日症状が悪化して内視鏡検査すると、大腸にとどまっていた炎症が、胃や小腸にも拡大。現在は、生物学的製剤を自分で皮下注射して治療中。

37歳男性

クローン病や、潰瘍性大腸炎は、脚や腕の皮膚が赤くなったり、口内炎ができたりする合併症から病気が発見されることもある。左脚のすねにできた直径5㍉ほどのホクロのようなものが、3日で手のひらを超える大きさになり歩けないほどの激痛になった。脚の病名は「壊疽性膿皮症(えそせいのうひしょう)」潰瘍性大腸炎の患者の数%に起きる合併症。脚の病気が腸が原因、との診断に理解できるまで時間がかかったが、確かに下痢は何年も前から続いていた。自己注射で治療中。


71歳女性

クローン病と30年つきあうも、一番苦しんだのは50歳代。腹痛や下痢で1日10回以上もトイレに駆け込み、腸の一部に穴が開き、膣から便が出た時もあった。大腸の部分切除を3回行い、ストーマも形成。だが、大腸の一部を残したので、いずれはストーマを外し、再び腸につなげる考えだったが、長年の炎症で傷ついた粘膜はガンになるリスクが高く不可能に。毎年の検査で、腎臓がんも発見され、さらに持病の糖尿病が原因で、腎不全となり人工透析を受けることになる。複数の病気を抱え、病気全体を見て治療を進めることの難しさを痛感。

37歳女性

17歳で潰瘍性大腸炎を発症。6年間激しい下痢や血便に悩まされ、入退院を繰り返す。トイレに行くたびに便器は真っ赤になり、生き地獄を味わうも、23歳で、大腸の全摘手術を受ける。大腸とつながっていた回腸の末端部分を折り返し、縫い合わせて袋状にした上で肛門につなぎ、肛門から排便できる方法を選択。袋状の部分は「回腸嚢」と呼ばれ、便を一時的にためておくスペースで排便回数を減らす効果があり、縫い合わせた所がしっかりつくのを待つため、手術は数か月の間隔をあけ、2-3回に分けて行う。ただ、3回目の手術が終わって一週間もしないうちに、40度台の高熱と下痢に加え、血便も出るようになり、潰瘍性大腸炎とほぼ同じ症状の「回腸嚢炎」になった。大腸を全摘した人の多くは症状が治まるが、約1~3割に回腸嚢炎が起きて、治療の継続が必要な人も少数いる。現在は、2人の男の子に恵まれ、クローン病の旦那様と悩みを共有しながら前を生きる。




 【関連記事】


 若い世代に激増!腸管に炎症が?潰瘍性大腸炎とクローン病の症状と原因について
 若い世代に激増!腸管に炎症が?潰瘍性大腸炎とクローン病の症状と原因について



 腸内環境に関する9つのQ&A|改善に役立つみんなが気になるあれこれ

 腸内環境に関する9つのQ&A|改善に役立つみんなが気になるあれこれ




田和璃佳<日本美腸メソッズ協会代表>

田和璃佳<日本美腸メソッズ協会代表>

美腸カウンセラー®/美腸をつくるたった2つの習慣で、免疫力up・美肌get・ヤセ菌増やして痩せやすい体を手に入れるoriginal『美腸Methods®』を全国に展開。 【藤田絋一郎先生(東京医科歯科大学名誉教授)監修】
5日間毎日届く美腸習慣メール講座はこちら





人気記事ランキング