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脳腸相関とは?腸内細菌のすごい働きと脳への密接な関係性を読み解く

腸内細菌がホルモンを作っていることをご存知ですか? 心の病を抱える方が多い現代では、うつ病や気分障害などのメンタルケアがとても重要になっています。

その根本対策として今注目されているのが…『脳腸相関』 つまり。メンタルまでも腸内細菌が大きく貢献してくれているのです!!



1.脳腸相関について


腸内細菌がホルモンを作るってどういうこと?


腸が脳を作ったという生物の歴史がある以上、「腸は第一の脳である」ともいわれており、腸内細菌のさまざまなはたらきの中で、私が最も注目しているのは『脳腸相関』です。


幸せホルモンと呼ばれる【セロトニン】・やる気ホルモンと呼ばれる【ドーパミン】などの前駆体をつくり、脳へと送り出しているのも腸内細菌。 


ちなみに、セロトニンは90%が腸(小腸粘膜細胞)に存在し、8%が血小板・脳内の中枢神経にはわずか2%しか存在していません。


腸内細菌は、「トリプトファン」という必須アミノ酸を原料にセロトニンを生成し、ドーパミンは「フェニルアラニン」という必須アミノ酸から生成されます。


必須アミノ酸というのは、体の生育に不可欠な成分でありながら自力で合成できないアミノ酸のことで、食べ物から摂取することが必要。  


つまり、セロトニン・ドーパミンの量を増加するためには…


  1. 多種多様な腸内細菌がバランスよく存在している腸内環境という土台があること
  2. 腸内細菌たちが喜ぶ食べ物を食べること


この①②両方揃うということが前提条件です。

 

ここ近年増加中の「うつ病」などは、脳内の神経伝達物質であるセロトニンが少なくなっていることが原因とされています。 不安や緊張によるストレスは腸内フローラを著しく乱れさせ、脳内でストレスホルモンを増強させてしまうので、イライラや不安が多い人・キレやすい人というのは、悪玉菌が異常繁殖した腸内環境になっています


これはマウス実験でも証明されていますが、腸内フローラの理想バランスが崩された状態だと、脳は正常な状態を保つことができず、人の心に衝動性や攻撃性をつくり出してしまいます。

腸内細菌が激減している現代社会が原因の一つだといわれているため、環境の改善とともに、日和見菌の摂取を心がけましょう。



2.エピジェネティクスとは


「エピジェネティクス」をご存知ですか?


こちらは比較的新しいマイクロバイオ―ム情報ですが、エピジェネティクスという言葉をご存知ですか?


エピジェネティクスとは後天的遺伝子制御変化のことで、生命という存在は、その全てが最初から遺伝子によって規定される(先天的)わけではなく、環境にも起因している(後天的)という考え方のこと。


全世界が注目し、巨額の投資をして世紀の大発見を期待されたヒトゲノム(ヒトの遺伝子)の解析の結果は、タンパク質をコードする遺伝子はゲノムの約2%(25000個)にすぎないことが判明しました。


この数は、チンパンジーと同じ数で、残りの98%は生命活動に関わる機能があり、生命のあり方をコントロールしているのは、『環境からの信号であることが大きい』と世界一流の科学者たちが認めざるをえない結果になったのです。

 

この信号をもとに転写因子と呼ばれる細胞膜に存在している調節タンパク質によって、遺伝子のスイッチがオン・オフされるかということが証明されています。

この分野における日本での第一人者は、かの有名な筑波大学名誉教授の村上和雄先生ですよね。


つまり。

人間の運命とはあらかじめ決められているものではなく、どのような環境を選択するかによっていくらでも運命は変えられる


そして。

外部環境だけではなく、腸内細菌のバランスが良くなり、腸内環境が改善されることでも、遺伝情報への働きかけが起こり、免疫系の機能維持や免疫系の調整が行われることが証明されています。


弊社はヒトゲノムの研究に携わったわけではありませんが、基本原則にのっとって鑑みるに…


腸内細菌が増え、正しい食事(=彼らのエサ)をすることで、腸内細菌のはたらきが活発化する

   ↓

腸内フローラが理想バランスになると、ホルモンの生成・短鎖脂肪酸の生成・ビタミンの合成・免疫細胞が活性化される

   ↓

その結果、心身ともに健康で、自分の気持ちや生き方が良い方向に変化していく


という善良な人生スパイラルに上っていくのは定義できそうです。


3.腸内細菌のすごい働き


生きたまま腸へって?腸内細菌の棲みかは?


よく宣伝文句に「生きたまま腸へ」などという言葉を聞きます。とてもインパクトのある表現ですが、そもそも腸内細菌は腸のどこに存在しているのでしょうか?


食べ物と一緒に入ってきた細菌の多くは、胃に入ると強力な酸性環境のために大幅に減少します。

そして、この第一関門を突破した細菌は、次は十二指腸に進みます。

ここで待ち受けるのは胆汁酸ですが、胆汁酸は細菌の細胞膜を溶かしてしまいます。

そのため、細菌の繁殖が阻止されることとなり、消化管の中で十二指腸は最も細菌数が少なくなります。

次に、十二指腸を過ぎると、細菌は空腸から回腸へと進んでいきます。十二指腸で分泌された胆汁酸が回腸で再吸収されることもあり、細菌は回腸から大腸にかけて急激に増殖していきます。

つまり、生きたまま腸に届けるのが最善ではなく、菌は自分の腸内環境にあった形で適応していきます。だから、たとえ顔が瓜二つの双子であっても、腸内細菌の種類と数はそれぞれ違います。


また、腸内細菌の分布には、酸素が関係しています。


小腸では、好気性菌(酸素のある場所を好む細菌)などの呼吸によって腸内の酸素が消費されます。 そのため、腸の下部に進むほど酸素不足になり、大腸では嫌気性菌(酸素のある場所が嫌いな細菌)が爆発的に増殖します。



腸内細菌のはたらきのまとめ


  • 免疫力を高め病気になりにくい体をつくる
  • セロトニンを分泌し、鬱の症状・認知機能を改善
  • インクレチン(糖尿病改善ホルモン)やドーパミンなど様々なホルモンを生成
  • ビタミンB2,B6,B12,パントテン酸,葉酸,ビオチンなど様々なビタミンを合成
  • アレルギー反応を軽減
  • 脂肪の蓄積を減らし、代謝を活発にして肥満防止
  • 発酵中に水素を発生し、活性酸素を除去
  • 細胞内のミトコンドリアに働いてエネルギーの活性化を促し、腸のphを下げて殺菌力を高める
  • 遺伝子へ働きかけ、免疫系の機能維持や調整が行われる(エピジェネティクス:後天的遺伝子制御変化)


「脳と体を守りたいなら、もう一人の自分である腸内細菌に任せなさい」

出典:「腸内細菌を味方につける30の方法」藤田絋一郎(ワニブックス)




まとめ

  • 脳腸相関により、腸内細菌がホルモンを作っている事実が判明。うつ病や自閉症などのメンタルケアの対策が可能になる。
  • 腸内細菌は、遺伝子情報にもはたらきかけることがわかってきたので、人生の好転のカギまで握る可能性あり。
  • 体の健康だけではなく、心の健康も司る腸内細菌は、もう一人の自分自身である。




田和璃佳<日本美腸メソッズ協会代表>

田和璃佳<日本美腸メソッズ協会代表>

美腸カウンセラー®/美腸をつくるたった2つの習慣で、免疫力up・美肌get・ヤセ菌増やして痩せやすい体を手に入れるoriginal『美腸Methods®』を全国に展開。 【藤田絋一郎先生(東京医科歯科大学名誉教授)監修】
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